見える


SIGMA DP1Merrill

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知人の葬儀の日、孫娘に当たる小さな女の子が来ていた。
非常に頭のいい4歳の子供だ。

火葬場で焼却炉から骨が取り出される時、子供にはショックが大きいのではないかと思い、僕は後ろに立ち気にして見ていた。
大人が泣き崩れる中、その子は父親に抱かれて、少し驚いたように目を見開いて骨を見ていた。
棺が炉に入るところを見ているので、それが自分の祖父であることはわかっているようだ。

「おじいちゃん、いなくなっちゃった」
その子が父親に小さな声で言った。
父親は娘の顔をじっと見た。
「お前はおじいちゃんとはまた会えるから大丈夫だろう?」
女の子は「うん」と答えた。

父親に聞くと、その子は普段から亡くなった人の姿が見えるようだという。
昨年亡くなったもうひとりの祖父も、時折会いに来ているらしい。
「おじいちゃん、そこにいるよ」と誰もいない空間を指して指摘し、周囲の大人を驚かす。

「よほどこの子がかわいいのでしょうね。私らにはまったく見えないですが・・・」
女の子を抱いたまま、父親が少し苦笑いしながら言った。
それはごく自然で日常的な会話であった。



今日の時計ベルト。
シェルマンのグランドコンプリケーション・クラシックに、ジャン・ルソーのルイジアナ・アリゲータ・ブリアントのダークブルーをつけた。

鮮烈な組合せである。
文字盤の精密感と、素材の品質の高さが、最高に生かされている。
ムーンフェイズの夜空の深みのあるブルーと、ベルトの鮮やかなブルーとが見事な調和をなしている。

ブルーのベルト・・というのが好きで、いつかブルーのベルトとマッチした時計が欲しいと思っていた。
ジャン・ルソーのこのブルーは、同社のイメージカラーでもあるという。
光沢のあるルイジアナ・アリゲータの竹斑部分を使用した、非常に高級なベルトである。
しかし意外に彩度の高い陽性の青で、使いこなしは難しいと感じていた。

シェルマンのグランドコンプリケーションとの組合せは、ひとつの解答といえるほどの素晴らしいマッチングを示す。
清潔感があり、スマートで、鮮やかで、それでいて高級である。
素直にカッコいいと思う。
後はオーナーがそれに見合うだけのものを持っているかどうかだろう(笑)

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