グリーン


D810 + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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子供の頃あんなに気を遣って服を選んで着せたのに、あなたは何故そんな変な色を好むのか・・と母親からよく言われる。
僕が子供の頃の服装には、だいぶ投資したらしい。
しかしまったくと言っていいほど、僕はお洒落には興味を示さなかった。
お洒落というのは、恐らく生まれつきのものであろうから、そういう才能が無かった場合仕方がないのである。

自分では覚えていないのだが、小学生の時に、突然この服が欲しいと僕が言い出したことがあったと言う。
渋谷の東急百貨店での話らしい。
それが「何とも奇妙な色のグリーン」だったのだそうだ。
僕がそんなことを言うのは初めてだったので、母親は不本意ながらもその服を買ったのだという。
「何であんな変な色を欲しがったのか・・本当にガッカリした」

そう言えば、グリーンに関しては、僕にもひとつ思い出がある。
中学生になりたての頃、確か出来たばかりの渋谷のパルコに、従兄に連れられてバーゲンに行った。
同年代の従兄は、普段から当然のように、そういうところに買い物に行っていた。
僕は全然興味はなかったが、一緒に行こうと言われ、訳も分からずついて行ったのだ。

バーゲン会場に入っても、何を買っていいのか全然わからなかった。
ところがその中でひとつ、鮮やかなグリーンのダッフルコートが目に留まった。
当時経営危機の噂のあったVANの製品が安く売られていたのだ。

何故かわからないが、そのコートの色が特別気に入ってしまった。
着ようとしたが、サイズが小さくて入らなかった。
しかし持ってきた数千円で、そのコートを購入した。
着られないものを買うのを見て、従兄は不思議がっていたが・・・(笑)

当然持ち帰ってもどうしようもなく、結局バーゲンに行けなかった体の小さい従姉にあげてしまった。
従姉はVANの製品だと言って喜んでいた。

今にして思えば、僕はあの色が気に入ったのだ。
あのクッと目に染み入るグリーンが。
ファッションとしてあのコートを選んだ訳ではなく、純粋にあの色に惹かれたのだ。

恐らく目の神経に心地よい刺激を受けるのだろう。
見ているだけで気持がいい。
これは多分に物理的なものなのである。
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課題


D810 + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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朝方ミサイル発射の緊急速報。
ちょうど家を出ようと準備しているところだった。
例のチャイムが鳴り、一気に緊張が高まった。
アナウンサーの声が動揺で上ずっている。

着弾するとしたら、あと数分しかないじゃないか。
危険地域には入っていないが、続いて2発目が飛んでくる可能性だってある。
とりあえず外に出るのをやめて待機することにした。

と言っても何をしていいのかわからない。
地下室なんて無いし、避難のしようがない。
まずはこのまま建物の中にいるのが最善の策であろう。
核弾頭が爆発したら窓際は危険だな・・なんて考えながら、そのまま窓の外を眺めていた。

それにしても、東北方面に行ったか・・・
那須の田舎の光景を思い浮かべた。
あの辺りに鉄筋の丈夫な建物なんてほとんどない。
皆何もできず、黙ってその場で立っているだけだろう。

地震もそうだが、ミサイルに関しても、緊急速報が出たとしてもほとんど対処できない。
まあ何も知らされないよりは、身構えることが出来る分いいか。
たまたま地下鉄にでも乗っていたなら、そのまま地下で待機すれば助かる確率は高まるのだろうが・・・

ミサイルは北海道上空を通過した・・そう発表されてから、いつも通り家を出た。
やはり数分で日本の上空を通り抜けて行った。
このままグアムまで飛んでいくのだろうか・・・とその時は考えた。

通りに出ると、仕事に向かう人たちが歩いているが、やはりみな顔は引きつっている。
情報を得ようと、スマホを食い入るように見ている人が多い。
命の危険を感じても、やはり仕事には行くのだ。

不思議といえば不思議な話だ。
もし米国領に着弾すれば、戦争が始まるだろう。
それでもいつも通り仕事に行くしかないのだ。

電車も遅れることなく、定刻通り走っている。
運転手も逃げることもせず、黙々と運転するしかない。
途中で分かったのだが、その時点では埼玉県より北では電車はストップしていたらしい。
対象地域はあらかじめそう対処する話になっていたのだろう。

それにしても、どうしていいのか分からなくて、結局いつも通りの生活を開始するしかなかった。
ほとんどの人が同じであったろう。
今後に多くの課題を残した緊急速報であった。
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連続して紹介


D810 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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本当はもっと間を空けるつもりだったが、オールデンの話題が出たので連続して靴の紹介を載せることにした。
靴への熱意は以前ほどではないが、それでも気に入ったものを時々買っている。



オールデン 29331F プレーントゥー・ブルーチャー。
アンラインド。
シングル・レザー・ソール。
アッパーはネイビー・スエード。
バリー・ラスト。
サイズはUS7.5D。

青い靴収集の一環として購入。
ネイビー・スエードの靴を探していたが、中途半端なものを買うより、オールデンにしておけば間違いないだろうと思った。
使い慣れたバリーラストの外羽根式プレーントゥのシリーズである。

7.5Dは僕には少し長いが羽根はしっかり開いてくれる。
7Eだと全長はちょうどいいが羽根が閉じ気味になる。
このラストではそのどちらかを選ぶしかない。

同社のスエードのネイビーは、写真だと少しくすんだ色に見える。
世の中にはより鮮やかな色のスエード素材もあるが、同社があえてこの色を選んだのは、それなりに考えがあってのことだろうか。
ネイビーとしては禁欲的な色であり、見ようによってはパッとしない色とも言える。

ネット上の画像でも様々な写り方をしており、実物がどういう色なのか今ひとつ分からない。
実際に履いてみると、外では意外に黒っぽく見える。
光の当たり方で表情を変えるので、どう表現していいか難しいが、知的で品のいい色と呼んでいいだろう。
これを見ると、変に鮮やかなネイビーのスエードの靴が、かえって安っぽく見える。



国内のネットショップで購入した。
現在正規ルート以外で、オールデンの靴を安く売るショップが国内に複数ある。
今までは皆無だったので驚きである。
検索でもトップに出るようになっているので、既にご存知の方も多いだろう。

正規ルートはもちろん、海外から直接輸入するよりも安いくらいの価格で売られているのだ。
どのようなルートで入ってくるのか分からないが、送料と税金を入れると個人輸入の方が高くなってしまう。
種類やサイズは限られるが、注文すれば翌日には送られてくるし、これなら国内で買わない手はない。

靴の前半部分の内側にライニングレザーは張られておらず、アッパーの革一枚になっている。
いわゆるアンラインドである。
同社にはこの仕様のモデルが他にもあり、クロムエクセルのプレーントゥなど何足か持っているが、これが軽くてしなやかで、なかなか素晴らしい履き心地なのだ。
柔らかいシングル・レザー・ソールとの組み合わせが絶妙で、下手にラバーなど貼ってしまうと良さが半減してしまうだろう。

純正の靴紐は、ご覧の通り黒いものが付いている。
これを茶色に変えてみたところ、ずっとカジュアル感が増した。
生成りや白の靴紐で、さらに華やかさを加えるのも面白いだろう。

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眠い・・・


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今日は眠くて眠くて・・・
テレビを見ている途中で何度か記憶が飛んだ。
気付いたら犯人は捕まり、ラストシーンになっていた。
この後まだあとひとつドラマを見るのだけれど、最後まで起きていられる自信が無い。



オールデンの559 パンチドキャップトゥ。
モディファイド・ラスト。
アッパーはカーフ+キッドスキン。
サイズはUS5.5-4E。
購入時の画像はこちら。(2016年9月4日の日記

幅広モディファイドで僕の足の全長限界でフィッティングした靴。
驚くなかれ5.5という短さである。(普段は7から7.5を履いている)
全長をつめた分、幅を大きく広げて合わせているわけである。

足の形をそのままなぞった様で、気味が悪いほどフィットしている。
が、さすが全長はこの短さが限界のようで、たまに多少前のめりになる感触はある。
これ以上短くすると捨て寸が無くなり、指が先端部に接触してしまうだろう(笑)



エージングでどんどんカッコよくなる靴だ。
最初はこの形はピンと来なかったのだが、履いていくうちに、なんてカッコいいんだろうと思うようになった。
外羽根式のキャップトゥって、オールデンでも一番カッコいいデザインのひとつではないだろうか。

特にキャップの部分とそれ以降の部分で材質が違うのが効いている。
光り輝くきれいなカーフ製のキャップ部分と、大きめの皴の入ったキッドスキンのバンプ部分。
ゾクゾクするようなコントラストである。
幅広で全長が短いところが、かえってプラスに働いているように見える。

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美味しいコーヒー


D810 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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僕の入れるコーヒーは美味しい。
・・・というもっぱらの評判だ(笑)
会社でコーヒーを入れる際に、少し多めに作って、事務所の女性にも分けてあげるのだ。

と言っても、作るのは機械である。
コーヒーメーカーに豆と水を入れてスイッチを押すだけ。(笑)
あとは出来上がるまで、席に戻って仕事をしている。
さすがに仕事中にゆっくり時間をかけてコーヒーを入れるなんてことは許されない。

つまり味に関係してくるのは、コーヒー豆の種類と分量、それに水の質だけになる。
たったそれだけだが、実はけっこう気を遣って選び、贅沢に使っている。
豆は行きつけのショップで少しずつ買ってくる。
今は3種類ほど置いてあり、代わりばんこに飲んでいる。

水はもっぱらミネラルウォーターだ。
コンビニで軟水を大きめのボトルで買ってくる。
在庫が切れた時は会社の自動販売機で買って使う。
水道の水は癖があってちょっと飲めない。

問題は分量である。
以前も書いたが、僕は実はコーヒーがあまり好きではない。
だから薄目に入れて、マグカップにたっぷり入れて飲む方が好きである。

コーヒーが好きではない人には、実はこういう人が多いのではないだろうか。
つまり濃いコーヒーが苦手な人だ。
ところが逆にコーヒーを作る機械は、いかに濃厚に入れるかを目指して作られているようだ。
そのためコーヒーが好きではない人は、それを飲まされると胃が痛くなり辟易してしまう。

一方僕は薄く透明な味になるよう豆や水の量を微調整して作る。
そのためコーヒーがそれほど好きではない人たちの嗜好と、ぴったり一致するのだ。
お茶のように飲めて、実に美味しいという。

今度専門店でコーヒー豆を買ってくるから、それでも入れてみて欲しいとまで言われた。
使っている機械を聞かれることさえある。
まあだからと言って、薄いコーヒー専門の機械を作っても売れないのだろうけれど・・・
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雑貨


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知人の会社の得意先が、店舗展開の縮小を図っている。
今まで全国の主要都市で数店舗、インテリアショップを運営していた。
ところがそのやり方では、だんだんと上手くいかなくなってきた。
広い面積を使ってお洒落な雰囲気を作っても、家賃が払えるほどの売上にはならないのだ。

確かにお店に行ってもお客はまばらで閑散としている。
これでやっていけるのだろうかと心配になるほどである。
かつてはそのやり方で賑わったが、もう通用しなくなっているのだ。
時代がどんどん変化しているということだ。

ではどうするのか・・と聞いてみた。
まずは大物のインテリアから撤退し、売れている雑貨に商品を絞り、店舗の面積を狭めるという。
大きなフロアを借りるのではなく、家賃の安い小さいお店にして、むしろ今までより店舗数を増やして全国に展開するのだという。

それを聞いて、本当にそれで大丈夫だろうかと思ってしまった。
売上が落ちた一番の要因は、ユーザーがネットでの買い物に移り、実店舗を利用しなくなったことだ。
本当は店舗販売をすべてやめてしまうくらいの思い切った戦略が必要なはずである。

とはいえ店舗を展開することでこれまで伸びてきた会社なので、今更その方向に進んでも、自己否定につながりかねない。
自分たちでもどうしたらいいか、掴みかねているのかもしれない。

もうひとつ気になるのは、雑貨に焦点を当てることである。
雑貨というのは「こまごまとした日用品」のことであると、ネット辞書に出ている。
確かに雑貨はそれなりに売れているという話は聞く。

しかしあくまで僕個人の考えなのだが、雑貨ってそんなに必要なものなのだろうか?
ミニマムの生活がよいとされる時代では、当然余分なものは買わないという傾向が強くなる。
もちろんまずは部屋の中で大きな容積を占めるものを減らしていくのだろうが、一方で無駄な雑貨なども部屋が散らかる要因になっている。
なるべく雑貨を買わない・・という考え方が主流になってもおかしくは無いだろう。

家賃を払って店舗を構えてまでして、雑貨を販売するという考え方に、危うさを感じるのは僕だけであろうか?
ああいうお店って、たまたま通りがかって、かわいいから買っちゃった・・というお客が多いであろう。
その程度の不安定な客層を当てにしていて、全国にお店を展開するほど商品が売れるものなのだろうか?
単に「今は雑貨が売れているんだそうだ」的な発想で動いているように思えて不安を感じた。
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順番


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Mrs.COLKIDが隣町の医者に通っている。
腕がいいと評判の女性の先生だ。
診て貰うと腕の良さを実感するという。

見立てがいいのだそうだ。
的確かつ確実な治療で、病状が目に見えて改善する。
数名いる看護婦さんも心得ていて、各自がてきぱきと動く。
この先生はかなり信頼できると感じるという。

ただすごく混んでいるのが難点だ。
待合室は患者で溢れている。
ネット上の評価も、唯一の欠点は混んでいる事と書かれているそうだ。

かなりの時間待たされるので、受付を済ませたら、一度外に出るのだという。
順番が回ってくるのに、あとどのくらいかかるか聞くと、およその時間を教えてくれる。
その間、近くの喫茶店などで時間を潰すのだ。

診療開始は朝9時だが、早くから受付をしているというので、Mrs.COLKIDが早起きして行ってみた。
朝7時半に着くと、待合室にほとんど人がいなかったが、整理券は既に29番だった。
皆とっくに券だけ貰って、一度家に戻ってしまったのだ。

それならと朝4時台に起きて、受付開始時間の5時半に行ってみた。
それでも順番は5番目だった。
その時間から先生がひとり出て、ちゃんと受付しているのだという。

本当は完全予約制にして、無駄な待ち時間を無くして貰ったほうがいい。
しかし歯医者と違い、一人当たりの診療時間がはっきりしないために、それが出来ないようだ。
先生も早起きしなければならず、人気のある医者というのも大変である。
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愛用靴


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数か月前に書いた愛用靴の紹介記事がいくつか残っていた。
すっかり忘れていた。
それを少し修正して公開することにした。



オールデンのフットバランスラインのNo.543 フルブローグ。
モディファイド・ラスト。
サイズは7EE。

1年以上前に購入した靴である。(2016年5月23日の日記
それから何度も仕事で使っており、特に出張先で人と会う際の定番の靴となっている。
華やかな雰囲気のフルブローグは、プレゼンテーションの席に使うのにちょうどいいのだ。

以前も書いた貴重な「幅広のモディファイド」である。
足を包み込むような独特の感触の靴である。
踵をしっかりホールドしてくれて、足先は解放されてストレスは最小・・・

他の靴では味わえない、この靴ならではの特別な履き心地がある。
それぞれのラストに良さがあるとは言うが、自分の足に合ったモディファイドラストの靴の履き心地は別格である。
これが好きになってしまうと、他の靴が履けなくなってしまう。



実際この靴を履いて、一日立ったまま仕事をすることがあり、その良さを実感している。
普通の靴だと途中で足がだるくなって嫌になってしまうことも多いのだが、この靴だとそれをほとんど感じない。
疲れがまったく無い訳ではないが、疲れの度合いは非常に少ない。

赤みの強いバーガンディのカーフは、非常にしなやかで足への当たりも柔らかい。
本来矯正靴であるこの靴の性格、機能とよく合っている。
一般の革靴のように、硬い革の容器の中に足を入れるような感触とは異なり、柔らかい革の袋で足を包み込むような感触である。
深みのあるワインレッドの色も素晴らしく、一目で革の良さが伝わってくる。
仕事の靴として、本当に離せない一足になっている。

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打ち合わせ


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午後になって、急遽足利の仕入れ先まで新製品の打ち合わせに行った。
先方と電話で話しているうちに、今から行きますということになったのだ。
試作品を積んで120iで出発した。

東北道から北関東道に入り、高速では気持ちよく飛ばせたが、インターを降りてから予想外に時間がかかった。
先方の工場が郊外の山の中にあるのだ。
渋滞する街中を抜けていかなければならない。

ラジオでバーンスタインのマーラーを放送していたので、気持ちよく聞いていたら、いきなり中断した。
ニュース速報で、すぐお隣の群馬県で竜巻注意報が出たという。
空模様もかなり怪しくなってきてた。

打ち合わせを終えて帰る時は、前が見えない程の大雨に遭遇した。
危険を感じた車がスピードを落とし、そのうち道路が動かなくなった。
稲光が走り、バリッという激しい音とともに近くに雷が落ちる。

そういった大自然の障害があり、思ったより時間がかかった。
帰ってきたのは夜9時近かった。
まあ車なので問題なく帰宅できたが、考えてみたら道中けっこうダイナミックであった。
今後も異常気象が続くとなると、打ち合わせに行くのも一苦労となりそうだ。
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探していた色


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時々ズボン用のベルトが必要になり購入する。
以前も書いたが、ズボンベルトは靴の色に合わせる必要がある。
今までに無い色の靴を買うと、それに合わせてベルトも買わなければならない。

とは言っても、革の質感や色を完全に合わせてしまうのはかえっておかしい。
他とのバランスを考えながら、程々に同系統の色合いのものを選ぶのだ。
そうしないと、まるでセットでベルトと靴を買ったようで、そこだけ浮き立って見えてしまう。

ところでベルトってそう安くは作れないものなのだ。
幅こそ狭いが、長さが長さなので、原皮もけっこうな大きさが必要になる。
恐らく原皮をすべて短冊状に切って、全部ベルトにしてしまうのが一番合理的な使い方であろう。
コードバンなどはそれだけの面積が得られず、繋ぎ目の入ったベルトも多い。

さすがに靴よりは安いが、ベルトもけっこうな値段になる。
ピンからキリまであるが、まともなものは最低1万円からであろう。
何種類も色や素材を揃えようとなると、馬鹿に出来ない金額になる。

以前より黒や茶色は何本か持っているが、青や緑といった特殊な色のベルトは持っていなかった。
しかし靴はその色のものを持っているので、ずっと合うものを探していた。
ネットで探すと、製品はいくつか引っかかるのだが、バーゲンで安くなっているものは少ない。
特殊な色は需要も少ないためか、定価で売られているものがほとんどである。
かと言って海外オークションで購入しても、送料と税金がかなり取られるので意味が無い。

そんなものかと思っていたが、たまたま地元のデパートで、ワゴンに入れられたベルトを大安売りしているのを見た。
どうやらベルトに関しては、実際に街のお店で購入した方が、安く手に入るようだ。
丸井あたりの紳士服売り場でも、けっこうな頻度でベルトのバーゲンセールを開催している。
まあ黒か茶色がほとんどで、あまり質のいいものはないのだが・・・

それなら一流のデパートを回ってみようと銀座に出てみたら、途中にある老舗の紳士服のお店でセールの文字が目に入った。
店内に入ると奥の方にベルトのコーナーがあったが、すでに売れ残りが数本下がっているだけであった。
期待せずに見てみると、室内の照明で黒っぽく見えるが、濃紺と思われるベルトが1本下がっていた。

「これブルーですよね」
「はい、コードバンですからいいものですよ」
てっきり新喜皮革製のコードバンかと思ったら、ホーウィン製だという。
しかも繋ぎ目もない。
それが何と半額以下の数千円で売っている。

「青とか緑ってなかなか無いんですよね」
「そうなんですよ。あ、そういえば緑色のベルトもひとつありますよ」
そう言って、奥から質のいいブライドルレザーのグリーンのベルトを出してきてくれた。
そちらも半額でいいという。

特殊な色なので、かえって売れ残っていたのだ。
欲しい色が見事に揃った。
しかも安く。
今日は運がいい。
両方買うと言ったら驚いていたが(笑)
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失敗


D810 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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今日は一日完全にお休みである。
連休の後すぐに休みなので、何だか調子が狂う。
午前中は家でのんびり過ごした。
しかしせっかくの休日なので、午後から新しいジーンズと新しい靴を履いて外出した。
いつもの靴屋さんに顔を出すつもりであった。

しかし途中で気が変わって目的地を変更、マッサージを受けることにした。
駅からいつものマッサージ店に電話して予約を取った。
今日はあまり無駄遣いはせずに身体を休め、来週に備えようと思ったのだ。

お店に行って受付を済ませると、女性のマッサージ師が出てきた。
しまったと思った。
いつもは男性のマッサージ師に施術してもらっている。
そう電話でお願いするのを忘れたのだ。

別に男女差別をする気は無いのだが、出来れば男性にやってもらいたい。
僕の身体はガチガチに硬くて、女性の力では通用しないのだ。
今まで女性にマッサージしてもらって、身体がしっかりほぐれた事が一度も無い。

男性でも全身を使ってふうふう言いながら施術する。
女性も頑張ってくれる人はいるが、下手をすると僕よりあちらが倒れてしまいそうになる。
体重をかけて押さなければならないので、絶対的に体が軽い女性ではどうしようもないのだ。

しかし今日の女性は体格がよく、がっしりとした体つきの人だった。
これなら案外いけるかも・・・
今更女性では嫌だとも言いづらいし、そのままお願いすることにした。

しかしやはり失敗だった。
大きいくせに揉み方は随分ソフトだ。
ちょっと手先で押すだけ・・という感じ。
せっかくの体格なのに、あれでは意味が無いじゃないか。

ここをお願いしますと言っているのに、あまり関係の無いところばかり押している。
軽く押したまま1分以上動かなかったりして、どんどん時間ばかり過ぎていく。
ウワー、これでおしまいかよ・・と思った。
残念ながら今日のマッサージは失敗だったようだ。
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正しい靴


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ある靴屋さんで聞いた話である。
最近は緩めのフィッティングを好む人が増えてきた・・という。
もともと一般の人は緩めでストレスのかからない靴を好む傾向があるが、ベテランの中にも揺るめを支持する声が出ているという。

靴は使っているうちに馴染んできて、同時に底が沈んできて、新品の時とは形が変わってくる。
その状態になった時に、足に完全にフィットするのが理想である。
そのため最初はきつめのサイズを選ぶのが、「正しいフィッティング」だと言われている。
しばらくは血の滲むような、いや、実際に靴擦れで血が出る「修行」の日々が続くが、ある期間履き込んで足にフィットしてきた靴は、極上の履き心地になる。

その「原理」を十分に理解している人たちが、緩い靴を欲しがるのだという。
一般の人は靴を3、4足しか持っていないから、ローテーションしても同じ靴を週に2回程度は使うことになる。
しかし大体において靴が好きな人は、数十足から下手をすると3桁の数の靴を持っている。

となると、ひとつの靴を年に数回程度しか履かないことになる。
これでは毎日辛い「修行」ばかりになり、「極上」を味わう前に人生が終わってしまう。
その馬鹿馬鹿しさに気付き、緩めでも最初から楽して履いた方がいい・・ということになるのだ。

都内のある老舗の販売店は、きつめの靴を勧めることで有名であった。
また海外のあるブランドの直営店でも、お店にいる専門家がかなりきつい靴を「これがあなたの正しいサイズだ」と言って勧めてくる。
ところが最近は、だいぶその傾向が薄らいできたらしい。
その老舗の販売店でも、「こちらが本当のサイズだと思いますが、きついと感じられるなら無理にはお勧めしません。痛くなって履かなくなっても勿体ないので」と言うようになった。

もっともこれにはまた別の理由があるのだ。
ネット社会になって、あの店できつい靴を押し付けられたという批判が相次ぎ、お店の店員さんを個人的に攻撃する書き込みが出てきたのである。
それでお店側もやむなく対応の方針を変えた。

今までは紳士はこうあるべき、という格式を重んじてきた。
また、それを楽しむことが、この趣味の醍醐味でもあったのだろう。
しかし、ついて来れないやつは相手にしない、という強気の姿勢が通用しなくなってきた。
ネット社会になり多くの人に広く情報がいき渡るようになると、こういうところにも変化が現れてくる・・という例である。
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はさみ


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はさみを収集している知り合いがいる。
日本の職人の作った裁ちばさみを集めているのだ。
焼きを入れた鋼の大きな刃物であるから、刀鍛冶の技術の流れなのだろう。

ところがこの裁ちばさみの収集が、段々と難しくなっているらしい。
作ることの出来る職人が、どんどん減っているのだ。
そのためお店にある古い在庫を探すか、オークションで入手するしかないという。

刃物の専門店に行っても、本当にいいものは何十年も前の古い製品ばかりになる。
当然製作した職人の多くが、すでにこの世にはいない。
製品についた名前で誰の作品かはわかるが、多くは説明書きの製作者欄に「○○年没」という但し書きが付くという。

そもそも裁ちばさみの需要自体が減っているようだ。
お店が成り立つほどの売上が無く、都内の有名店までもが、今年中に店を閉めるような話をするという。
世の中がはさみというものを使わなくなってきたらしい。
使うとしても芸術品のような道具である必要はなく、金属を打ち抜いただけの簡単なもので十分なのだ。

もうひとつ大きな理由がある。
裁ちばさみを作る技術自体が、とてつもなく大変なものなのだという。
ひとつの刃物を作るならまだしも、はさみの場合二つの刃物のすり合わせが必要になる。
上下の刃物が互いに作用しあいながら動くよう調整しなければならないのだ。
これは簡単なことでは無いだろう。

生まれつきの才能、それも飛びぬけたものが必要なのだという。
そのため初代の職人の子孫が、必ずしもその技術を引き継ぐことが出来ない。
修行すれば何とかなる・・というものではないのだ。
その上製品の需要が無く食べていけないとなると、技術の継承など到底不可能であろう。

今や作ることはおろか、研ぐことさえままならないという。
包丁を研ぐのとは違い、二つの刃のバランスを整えながら研ぐことは、相当な技術を必要とする。
僕の知り合いの生地を扱う職人は、仕事用の立派なはさみを自分で研いでいるが、ここをいじったらはさみを駄目にしてしまうと、絶対に一定以上手を出そうとしない。
中には初代の作った芸術的な出来のはさみを、それを継いだ職人の技術でも研ぐことが出来ない、という事態まで起きているという。

長い時間に培われた貴重な技術が、今まさに消えようとしているのだ。
本当はこういう技術こそ、国が援助して継続させる必要があると思う。
しかし商売として成り立たないとなると、それも難しいのだろうか・・・
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グラマン 3


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終戦間際にわざわざこんな内陸にまで攻撃に来たのか・・・
当時は本土決戦の特攻要員を各地の小学校に集結させたそうで、その情報が漏れていたのだろう。
もしかするとより大きい目標を攻撃した編隊が、第二の目標として立ち寄ったのかもしれない。

既に日本側に抵抗する戦力が、どれほど残っていたのかはわからない。
しかし相手にとっても、ここまで敵地の奥深く進行するのは命懸けであったろう。
何しろ栃木県には中島飛行機の陸軍四式戦の工場もあるのだ。

グラマンは校舎を数回攻撃して帰還する予定だったと思われる。
ところが隣の山の上にもうひとつ目標をみつけた。
実家の裏山の上に開けた平らな場所ある。
僕が時々撮影に行くお気に入りの草地である。

当時は食べるものが無くて、そこに畑を作り野菜を育てていた。
ところが地元の子供たちがその作物を盗んで食べてしまう。
そこで村のAさんという年寄りがひとりで見張りをしていた。
腹を空かした悪ガキどもから作物を守っていたのだ。

そのAさんがパイロットの目に留まったようだった。
開けた場所にひとり立っていると目立つ。
1機のグラマンがそちらに機首を向け、12.7ミリ機銃を発射した。
戦闘機の爆音に交じり、空気をつんざく機銃の発射音が響き渡った。
少年だった義父の頭上で、鮮やかなオレンジ色の曳光弾が何本も裏山の方に飛んで行った。

不思議な話だが、集落の建物に対しては攻撃を加えない敵機が、人影を見ると機銃を撃つのだという。
当時は女子供にまで竹槍を持たせて、米兵を殺す訓練を行っていた。
そのため日本人は全員戦闘員とみなされ、動くものはすべて撃っていいという命令が下っていたらしい。
グラマンは山の上でひとり番をしていたAさんに向かって機銃掃射を行ったのだ。

山の上から爆撃を見物していたAさんは、いきなり自分が標的にされて肝を冷やした。
機銃の着弾の列が、地面を煙をあげながら追ってくる。
Aさんは必死になり走って逃げた。
這う這うの体で山を下りたAさんは、それ以降恐ろしくて畑には行けなくなった。
グラマンは一連射しただけで立ち去っていった。

どうやら子供たちは、これ幸いとAさんのいない山に食べ物をいただきに行ったようだ。
育ち盛りに食べ物が無く、腹を空かせているのだから当然の行動である。
しっかりと状況を把握し、ちゃっかりと行動するのは、いつでも子供たちである。
それから数日後、集落では皆がラジオの前に集められ、玉音放送を聞いたのだという。
(完)
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グラマン 2


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それまでもB29の偵察は何度かあったという。
ゴンゴンと低い恐ろしい音を立ててB29が単機で飛来したが、爆弾を落とすことは無かった。
こんな田舎を攻撃することは無いだろうと、防空壕に逃げることも無く、灯りを漏らさないようにして寝ていたという。

だがその日は違った。
初めて戦闘機が山奥の村にやってきた。
「V字型の編隊になってグラマンが飛んできた」
戦闘機の編隊は、一度そのまま村の上空を通過した。
恐らく攻撃目標を確認したのだろう。

小学校に駐屯していた兵隊たちは、それを見てあれは友軍機だなどと話していたらしい。
それを聞いた義父たちは、自分の敵もわからないような兵隊ではダメだと、後から皆で話したという。
こういう事は子供の方が詳しい。
一目見て米軍機であるとわかったという。
「やけにいい飛行機だった。あんないい飛行機が日本にあるわけないからすぐに敵とわかった」

編隊は旋回して再度村の上空に近付いた。
そして次々に急降下しながら小学校に小型の爆弾を落とした。
あるいはロケット弾だったかもしれない
降下していく時の甲高い音と、ドンドンという爆発の破裂音が聞こえたという。

小学校は実家から見て、ちょうど山の向こう側にある。
爆撃や機銃掃射を行ったグラマンが上昇すると、その山の上からひょいと姿を現し、そのまま頭上を通り抜けていく。
僕が撮る写真によく写っている山である。

グラマンは繰り返し小学校に攻撃を加えた。
その度に実家の上空を通過していくグラマンの腹が見えた。
色は白っぽかったという。
恐らく典型的なブルーの3色の迷彩で、下面は白色だったのだろう。

兵隊たちは壕に逃げ込んで無事だった。
しかし小学校のそばにあった駐在所で、それた爆弾がコンクリート製の留置所に飛び込んだ。
そこに避難していた駐在員の奥さんが、直撃を喰らい亡くなった。
また機銃掃射で小学校の校舎にも12.7ミリの弾痕がいくつも開いた。
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