煙霧


SIGMA DP3Merrill

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新宿を歩いていた。
冷たい風が吹き始めたかと思ったら、みるみるうちに、一方の空が黄色みがかった暗いグレーに染まった。
反対側の晴れた空とは、まったく違う色である。

絵の具を溶いた水のような、異様な色が頭上に広がる。
一体何事が起こっているのかと、急激に暗くなった空を、誰もが見上げている。
スマホを取り出して写真を撮る人もいる。

やがて黄色い煙がバァァと降り注いできた。
視界がどんどん悪くなり、ビル群に煙が覆いかぶさっていく。
異様な何かが、ついに街に到達したように見えた。

喉が痛い。
マスクをしていないといられない。
とりあえず目の前の建物の中に避難した。
外を見ると、大通りの向こうのビルは霞んでいる。

何が起きているのかわからない。
人体に有毒なのかどうかもわからない。
黄砂・・・だろうか?
だとしても、こんなに極端な現象は初めて見た。

まるで怪物が襲い掛かってきたようだった。
わかったことは、その場にいても、何も出来ないということだ。
ただ見ているしかなかった。
「煙霧」という現象だと後から知った。
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