COLKIDが日々の出来事を気軽に書き込む小さな日記です。
COLKID プチ日記
あの日のフェラーリ
LEICA X1
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一方これは少し古い写真であるが、何と地震直後の日曜日に見たフェラーリだ。
大災害が起きても、フェラーリで街に出る人はいる。
さすがに一瞬ぎょっとなった。
非常識とか、浮世離れしているとか、言う人もいるだろうが、むしろ「俺は何が起きても最後までこのスタイルを貫くんだ」という凄みのようなものを感じさせた。
この種の車を所有する人は、そういう強いものを持っているのではないかと想像している。
今日の時計。
これはGSXのSMART no.83に、モレラートのジョットという大きなホールのあるカーフ製ベルトを組み合わせたもの。
オリジナルのベルトは、ソリッドステンレスのブレスレットでカン幅は20mm。
このポップな外観のクロノグラフは、時計に興味を持つ以前から、雑誌などで見て欲しいと思っていた。
クォーツなのでそれほど高価ではなく、アメ横で2割引で購入した。
デザインのルーツはアラン・シルベスタインにあるのだろうが、僕の場合そこまで高価なものは必要としていない。
写真でわかるように、GSXのこのシリーズはガラスの表面に柔らかいふくらみを持たせており、クールなようで暖かみを感じさせるデザインだ。
ベルトはモレラートのジョットが合うだろうなと、当初から思っていた。
少し抵抗して別のベルトを組み合わせてみたりもしたが、最終的にジョットを付けてみたら、やはりドンピシャリで、他のベルトにする理由が見つからなくなった。
表面の質感などを含めて、完璧に調和が取れている。
モレラートのジョットは、細部にこだわって作られた同社のマニュファッティというシリーズに属している。
ベルト留めの輪(遊革)が動いてしまわないように、ベルトの裏側でリボンで留めているなど、凝った構造になっている。
今までに紹介したドナテロやティントレットなどもこのシリーズに属している。
僕はモレラートのベルトはこのシリーズから選ぶことが多い。
なお紹介したほとんどの時計のベルトのバックルは、Dバックルに交換している。
一度でも普通のバックルで留めると、革製のベルトは痛んでしまうので、新品の状態で取り外してしまう。
Dバックルの色や艶の有無は、時計の表面仕上げに合わせて選ぶ。
たとえばこのSMART no.83の場合は、艶消しのシルバーのものを付けている。
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今日のフェラーリ
LEICA X1
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こんな時だからこそ、今日のフェラーリ。
日曜日の銀座では、意外に多くのフェラーリが走っていた。
実際に何台かと遭遇したし、遠くを走るマルチシリンダーの音をとらえたりもした。
銀座を走るフェラーリを見ると、不思議とほっとする。
いろいろな階層の人が、それぞれの生活を取り戻そうとしているのだろう。
地震直後の日曜日にも、フェラーリで銀座に乗り込むつわものを見たが、それについてはまた後日・・・
今日の時計は、フレデリック・コンスタントのインデックス・オートマチック38という日本限定モデルに、昨日と同じモレラートのドナテロのブルーを組み合わせたもの。
オリジナルは茶褐色のアリゲーター型押しカーフで、これが時計とまあまあ合っている。
しかし僕の場合、ベルトを交換すること自体が目的なので、どうであろうと他のものに付け替えてしまう。
カン幅は20mmで、さあ交換しろと言わんばかりのサイズだ(笑)
日本人向けに小さめに作られた38mmの直径と、非常にシンプルなデザインがこの時計の特徴である。
その割りにケースがガッシリと作られていて重量がある。
今の時計はやたらと大きいものが多いが、本来このくらいが適正なサイズではないかと思う。
シルバーで統一されたクールな外観を生かしたくて、ベルトには寒色系のドナテロのブルーを選んだ。
というか、例によってブルーのベルトの方が先に決まっていた(笑)
時計に合わせてベルトを選ぶと、どうしても無難な色に落ち着いてしまうので、先にベルトの色から決めるのも、案外悪くない方法なのだ。
嫌味の無い端正なデザインであるが、腕につけていると思いの外存在感がある。
そういうところは、国産と違ってうまい。
フレデリック・コンスタントの製品は、価格が良心的でありながら、手を抜いた感じがない。
お気に入りのメーカーのひとつである。
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暴走
LEICA X1
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10数年前の話なのだが、会社に米国製の新しい機械が導入された。
それがある日突然暴走をはじめた。
レール上を移動するパーツが、いきなり全開ですっ飛んでいき、端にあるリミットにぶつかって凄まじい音をあげたのだ。
そのまま止まろうとしないので、ガンガンと何度もぶつかり、大音響が連続して工場に響き渡る。
当然オペレーターは腰を抜かさんばかりに驚いた。
その暴走が、毎日のように発生した。
一度電源を切りリセットすれば収まるのだが、暴走の原因がまったくわからず、メーカーの技術者も頭を捻っていた。
しかし何度か起こるうちに、どうやら発生時間に法則性があることに気付いた。
たいてい夕方5時を数分過ぎたところで発生するのだ。
それで疑い出したのが、原因は機械本体ではなく、外的な要因にあるのではないかということであった。
すなわち電源である。
5時少し過ぎ・・というところがヒントとなった。
想像される原因を電力会社に話したが、最初のうちは半信半疑でとりあってくれなかった。
だが、そろそろ起きますよ・・と予言したところで、実際に発生するのを見て、彼らも納得したらしく本格的に調査を開始した。
事務所の一室を開放して、数人の技術者と機材が運び込まれ、電源の波形を監視した。
すると案の定、5時を少し過ぎたところで、ドーンと凄まじいノイズが乗り、波形が大きく乱れることがわかった。
それが機械のコンピューターに入り込み、制御系を狂わせて暴走させていたのだ。
恐らくどこか近所の工場で、5時で操業時間が終わり、電気を食う大きな機械の電源をバチンと落とすのだろう。
その瞬間盛大にノイズを発生し、電源を通じて波形の乱れが周辺の家々を襲う。
一般家庭の電化製品ではそれほど大きな問題にならなくても、精密な機械を置く工場ではそうはいかない。
そういう環境を想定していない米国製の機械などがやられてしまうのだ。
それがわかるとすぐに、電力会社は対策を講じた。
会社に来ている電源ラインを別のルートに変更したのだ。
時折発生するトラブルなのか、比較的対処に慣れているようで、作業は即座に実施された。
それでピタリと暴走は消えた。
ノイズの発生源である会社も、電力会社はどこであるか掴んでいるようであったが、それについては教えてくれなかった。
ここで問題にしたいのは、その電源のラインの変更という対処である。
実に簡単に行われたが、そういうことが今までに日本中で行われており、末端がどこにつながっているか、把握できなくなっているのではないだろうか?
計画停電の当初の混乱ぶりを見ると、そんな気がしてならない。
新しい住宅が出来れば、住所の区分は無視して一番近いところから電源をひくだろうし、長年そういうやり方が続けば、何が何だかわからなくなるだろう。
今日の時計は、スイス・ミリタリーのクラシックML-284に、モレラートのドナテロのバーガンディを組み合わせたもの。
このクォーツ式クロノグラフは、前々からデザインに癖が無くていいなと気になっていた。
白地に赤い国旗というのも、清潔感があっていい。
しかし価格が安いので、品質はそれなりのモノなのだろうと想像していた。
買ってみたら、やはりそれなりのモノであったが・・・(笑)
カン幅もポピュラーな20mmで、いろいろなベルトとの組み合わせが考えられるデザインだ。
モレラートのドナテロは、サドルレザーを使用した上品な形状のベルトで、エンドピースの手前に入ったステッチが特徴。
実は赤い色のベルトがどうしてもひとつ欲しくて、それに合う時計を探した・・というのが実情だ(笑)
ところが赤いベルトに合う時計なんて、そう簡単にあるものではない。
スイス・ミリタリーの時計は、同じ赤い色のスイスの国旗が小さく入るので、それが共通項になって、案外違和感の無い組み合わせになった。
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日曜日
LEICA X1
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腰が痛くて、午前中は家で休んでいた。
例の問題で、外に出るのは、やはり少し勇気がいる。
しかし、こういう時こそ写真を撮らなくてどうするのだと思い直し、午後から街に出てみた。
人々がどのような様子か、見ておきたいという意味もあった。
幅のあるコルセットを腰に巻いて歩いた。
歩くのがきついほど腰痛がひどい。
さすがにD3は重いので、今日はX1を持って行った。
意外にも、銀座は活気があった。
いつもの日曜日から比べれば、少ないのかもしれないが、歩道は人で溢れている。
いつまでも休んでいられないと思ったのか、お店もけっこう営業している。
ふっきれて普段の生活を取り戻そうというのか、あるいはテレビの情報を鵜呑みにしているのか・・・
外国人は、さすがに大幅に少ないようだ。
数人であるが、気丈な白人とすれ違ったが、表情は硬かった。
大きな声で話す中国語もあまり聞くことはなく、皮肉にも日本人の銀座を取り戻したという印象を受けた。
いろいろな場所を確かめながら、いつものコースを辿って行くうちに、ついに秋葉原まで歩いてしまった。
歩いているうちに、腰痛は少し軽くなった。
少し気になったのは、いつもいるはずの場所に、鳩が一羽もいなかったことだ。
動物に何らかの宏観現象が出ているかもしれない。
要注意である。
今日の時計はシチズンのエコ・ドライブ電波時計オルタナVO10-6851Bにバンビの撥水バンドを組み合わせたもの。
オリジナルはステンレスのバンドでカン幅は20mm。
電波時計のラインナップはかなりの種類があるが、デザイン上まあこれならいいかな・・と思うのはこのモデルくらいだった。
聞くところによると、国産の電波時計を欲しがるのはお年寄りばかりなので、無難で無個性なデザインばかりになるのだそうだ。
このモデルはステンレス製なので、重量がけっこうある。
元来機能面では申し分無いものであるはずだが、今は地震で福島の標準電波の発信局が休業状態のようだ。
かわりに九州局が受信できるが、受信状況の悪い屋内などに置いておくと、電波時計もけっこう狂ってくる。
ベルトは型番不明だが、バンビ製のアウトドア向けモデルで、抗菌防臭・撥水処理がなされている。
革というより樹脂っぽい感触で、コバの部分が妙に硬くて好きではないのだが、時計とドンピシャリなので使っている。
二列のミシン目がスポーティで悪くない。
御徒町の卸しで6割引で購入した(笑)
いずれにしても正確な時間を知るために、電波時計もひとつは欲しい。
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リース
LEICA X1
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巨大地震が起きた日、某メーカーの営業の人が来た。
約束はしていたのだが、まさかこの状況で来るとは思わなかった(笑)
途中自宅に寄ってきたが、子供が恐怖で泣き喚いていたという・・・
その根性に免じて・・というわけでもないが、コピー機と大型プリンターを新型に入れ替えることにした。
実は新型にした方がリース代が安くなるので、替えない手はないのだ。
ところでコンピュータ関連で、かなり有益な情報を教えてもらった。
実際に現場で、様々なメーカーの機器に触れている人の情報なので、信憑性が高い。
僕は以前より、会社ではD社のワークステーションを数台使っている。
現在メインで使用しているものは既に相当古いのだが、導入した当時は100万円もしたものだ。
もう古くてメーカーから保証対象外にされてしまった機種で、動きも時折不安定になるので、そろそろ新しいものに入れ替えを考えていた。
ところがD社のワークステーションが良かったのは昔の話だという。
今はワークステーションといっても、10万円以下の機種も揃えられており、そういう安価な価格帯で展開するようになってから、故障率がかなり高くなったという。
確かに普通のパソコンに比べれば、今でもワークステーションの方がずっと信頼性は高いそうだが、同じ米国製で選ぶなら、今ならむしろH社の方が壊れないという。
更にいえば、国産のF社やN社のワークステーションの方が、ずっと作りがよく信頼性も高いのが実情だという。
現場で多くの機械を導入して実感しているというから、本当なのだろう。
今回もプリンター駆動用に、一台ワークステーションを無料で付けてくれる事になったのだが、それを聞いてしまった以上、国産のものにしてほしいと頼んだ。
残念ながら地震で東北方面の工場が全滅してしまったので、現在納入できる機種は限られるようで、結局米国のH社のものになった。
(つい最近D社の最新の高額なワークステーションに触れたK師匠によると、かなりごつくてすごいものになっているという話なので、上記の情報は安い価格帯のものに限った話なのかもしれない)
彼はなかなかうまいタイミングで来社したといえる。
話しているうちに、入れ替えたい機械が次々に出てきて、結局パソコンを5台、UPSを2台、さらに追加発注することになった。
電話器を交換しようと、NTTと話していたのだが、そちらも見積もりさせて欲しいという。
パソコンは事務員用にノートが4台だが、画像処理の多い僕のパソコンだけ、少し贅沢してデスクトップタイプのワークステーションにした。
これもH社のものだが、メモリを有効に使用できるようにOSはWindows7の64ビットを選んだ。
さらにデュアルモニタは少々贅沢してEIZOを2台並べてもらうことにした。
これだけ替えてもリース料はそれほど上がらないのだから、新しいものに替えなければ損だ。
ところで彼の説では、パソコンは3月と6月によく故障するという。
不思議なほどそういう事象が出ているそうで、出来るものなら国や研究機関で統計を取って欲しいくらいだと言っていた。
理由は不明だが、湿気の量が変わる季節だからではないかという。
3月の決算期に無理なデータを強引に入れるからではないか・・と言ったら、そうかもしれないと苦笑いしていたが・・・
今日の時計はGSXのSMART no.76に、モレラートのカーフ型押しのルノアールを組み合わせたもの。
オリジナルはソリッドステンレスのブレスレットだが、市販の20mm幅のストラップの取り付けが可能と、メーカーが公に謳っているところに好感が持てる。
デザインも実に日本的で、自分でベルトを替えて楽しむのに適した端正なもの。
ムーブメントは比較的新しい設計のようだが、残念ながら秒針を止めることができない。
機械的でクールな外観を生かすべく、組み合わせるベルトの選定には悩んだ。
同じ寒色系のブルーを選び、意表をついて生き物の肌の質感を加えることで、独特の無機質な雰囲気を出すことに成功した。
モレラートのルノアールは、艶消しの表面仕上げがとても良くて、すべての色を揃えたくなるような、革フェチとしてそそられるもののあるベルトである(笑)
細めでクラシカルなアウトラインも僕の好みで、ベルトだけ額に入れて飾っておきたくなる(笑)
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アンカーボルト
LEICA X1
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幾人かの人が同じ事を言ったので、多分本当に起きた現象なのだろうが、今回の地震で工場が受けた被害をあらためて検証すると、地面にちゃんと固定してあった機械が、かえって倒れてしまった例が多いという。
通常工場内の機械は、不用意に動いてしまうのを防ぐため、地面にアンカーボルトを打ち込んで固定する。
アンカーボルトというのは、床のコンクリートに埋め込んだボルトのことで、それにナットで機械の脚を固定する。
要するに機械を地面にネジ止めしてしまうのだ。
多くの場合、床にドリルで穴を開けて、中で開いて抜けなくなる特殊な構造のボルトを打ち込む。
実際には機械の重量などを計算して、引き抜き強度を考えて取り付ければ、問題は起きないのかもしれない。
しかし一般の工場では、そこまで計算して施工することは少なく、ほどほどの太さのアンカーボルトで留めてしまう事が多いと思う。
ところが今回の地震が起きてみると、このアンカーボルトを引きちぎって機械が倒壊する例が多かった。
留めていない機械は助かったのに、固定していたがために、つんのめるように倒れてしまったのだ。
もちろん機械の重量バランスにもよるのだろうが、まさかこんな事になるとは予想していなかった。
僕の会社では、もしもの時のために、機械をアンカーボルトでガッチリと固定するようにと日頃から話していた。
ところが職務怠慢でそのままになっている機械が多く、地震が起きる前にやってしまわなければ・・・と、数日前にも会議で話したばかりだった。
ところがそれが幸いしたようで、揺れに対しフリーな状態であったためか、一台も被害を受けなかった。
皮肉な結果だ。
しかし次回もっと大きいのが来たら、そううまくはいかないだろう。
たとえば機械同士を鋼材で連結して、安定させると同時に、機械の間に挟まれる事故を防ぐとか、いくつかのアイディアが出ている。
ただ強固に固定するより、ある程度クッション性を持たせた方がいいのではないかという考え方に変わった。
大きめの地震を経験したことで、いろいろと想像が働くようになったのだ。
ところで会社で起きた実質的な地震の被害がこれ(笑)
バッターンと倒れて、透明なアクリルのカバーが粉々になった。
仕方なく破片を掃除機で吸い取り、余震でまた倒れるといけないので、そのまま床に倒してある。
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埋立地
D3 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
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地震の時、何をしていたか・・が挨拶代わりになっている。
先日お会いした人は、とある埋立地にある巨大な展示会場にいたという。
中国メーカーの出品物のエリアに入り、女性から説明を受けているところで、大きな揺れに見舞われた。
仮に設置してあるだけの展示ブースなので、激しい揺れに次々に倒壊した。
高い天井からは電球が落ちてきてはじけ飛んだ。
数人が怪我をしたようだ。
「助けて」という意味と思われる中国語を、女性が大声で叫び知人にしがみついてきた。
知人は立っていることが出来なくなり、その場にしゃがみこんだ。
むこうまで這って行くんだ、と日本語で叫び、その女性と這いつくばりながら、隅の柱の方に移動した。
電気が切れて会場は真っ暗になった。
その後が大変だった。
激しい液状化現象が発生し、あちこちで地割れが起きて、アスファルトを突き破って砂が吹き上げている。
ガスタンクが爆発し、流れてきた煙が辺りに充満した。
まるで爆撃を受けた後のような状態だ・・・
ここは昔は蝿の飛び交うゴミ捨て場だったのだと、あらためて思い出し、埋立地の恐ろしさを実感した。
逃げ道である橋は1本しかない。
そこを渡るしか、脱出する術は無いのだ。
橋の上は車が渋滞し、まったく動いていない。
知人は橋の歩道を進んだが、周りには溢れんばかりの人がぞろぞろと歩いている。
その流れの中で、知人はふと、これだけの重量に橋が耐えられるのだろうかという恐怖を感じた。
ここまで来ればと、みな安心した顔で歩いているが、今大きな揺れが来たら橋が落ちるのではないか?
知人は早く渡りきりたくて早足になった。
ラジオを耳に当てると、震源は東北だという。
あの揺れで震源地が東北とは・・・そこで起きていることを想像すると背筋が寒くなった。
30分ほどかけて、やっと橋を通過することが出来た。
自宅が横浜にある知人は、どのコースで帰るか考えた。
かなりの距離があるが、歩いて帰る覚悟をした。
その時点では津波のことは考えなかったが、本能的に内陸寄りのコースを選んだ。
みながぞろぞろと歩く。
立派なのはコンビニが開放され、物資やトイレを提供してくれたことで、歩く人たちの流れも、実に整然としていたという。
この素早い対応は、いつかこういう日が来ると、多くの機関が想定していたのだろう。
途中スニーカーを購入して、ハイヒールから履き替える女性も多く見られた。
携帯がつながらず、家に連絡が出来なかったが、ラジオで公衆電話が使えるという話を聞いた。
しかし、なかなか公衆電話がみつからない。
銀座の裏通りでやっと電話を見つけて、かけてみたら自宅につながったので、家族に無事を伝えた。
あの電話がつながるよと歩く人に教えたら、たちまち30人ほどの行列が出来た(笑)
夜遅くなり、ゆっくりではあるが東急線が動き出したと聞き、駅に向かい乗ることができた。
それもラジオから得た情報だった。
家に辿り着いたのは夜中2時頃であった。
知人はふと、あの展示会場にいた中国の女性や、各国から来ていた営業の人たちは、あの後どうしたのだろうと考えたという。
東京で働いている人の多くが、これに近い体験をしたことであろう。
しかし埋立地で起きたことの報道が、なぜか意外に少ないような気はする。
今日の時計はボーム&メルシエ クラシマ・エグゼクティブXL に、ヒルシュのプリンシパルという型押しカーフのベルトを組み合わせたもの。
オリジナルのベルトは黒いアリゲーターでカン幅は22mm。
クラシマ・エグゼクティブはいろいろなタイプが揃っているが、写真を比較しながら長い時間悩んだ末、結局シンプルな黒針の三針タイプがベストという結論に至った。
ギョーシエ、ローマンインデックス、長い秒針と僕の好きなすべての要素が揃っており、さらには申し分のない上品さを兼ね備えている。
さすがに歴史のあるメーカーだけあり、デザインに隙が無く完成度が高い。
海外より購入したヒルシュのベルトは、本物のアリゲーターもあるのだが、ワシントン条約に引っかかるため通関が面倒で、やむなく型押しカーフのタイプを選んだ。
クラシマのオリジナルのベルトより厚みがあり、品質的には悪くない。
時計との隙間の開かないカーブド・エンド・タイプで、完全にピタリと合わせる為シャフトの位置を微調整できる凝った構造であるが、クラシマとの接合にはかなり苦労した。
正直なところ完璧に合っているとは言えず、時計の裏側を見ると、ベルトの根元が時計より厚く、少し内側にはみ出している。
実用上は問題ないのだが、どうしても気になってしまい、いつか別のものに変えようかとも考えている。
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揺れ
D3 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
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会社で部品の撮影をしていた。
ストロボを焚くと表面が光ってうまく写らないので、手でカメラ押さえてスローシャッターで撮ろうと構えている時に、ユーラユーラと揺れだす。
震度3くらいか。
昔だったら地震だ!と騒ぐ大きさの揺れだが、今はこのくらいで騒ぐ人は、もう誰もいない。
ファインダーの中の被写体が、上下左右に動いて、なかなか安定しない。
畜生と思いながら、むきになってシャッターを切る。
東海、東南海、南海地震の連鎖を危惧していたが、その前に今回の震源の北側に当たる三陸北部から北海道にかけてが危険だという。
いずれにしても、余震でさえM8級だというから注意が必要だ。
今日の時計はエポスの3214SLにモレラートのティントレットという鹿革のベルトを付けたもの。
オリジナルのベルトは黒い型押しのカーフ(らしきもの)。
3214SLはクロノグラフにトリプルカレンダー、24時間表示、ムーンフェイズ・・と何から何まで付いたエポスお得意のハイCPモデル。
37mmの径が妙に小さく感じるのは、厚みが13mmもあるからで、腕の上で円筒形のゴロッとした塊に見える。
ブルースチールは多分コーティングの偽物だろうが、裏スケルトンから覗けるペルラージュ仕上げといい、価格を考えると実に立派。
お月様にはちゃんと顔も書き込まれている(笑)(書き込まれていない個体もあるようだ)
けっこうお気に入りで、着用する機会の多い時計。
鹿革のティントレットは非常にしなやかで、モレラートの中でも特に感触のいいベルト。
個人的には一番好きなベルトだ。
柔らかい上にしぼが多く入っているため、バックルで留めた個所のベルトの傷みがほとんど見られない。
ところでエポス3214SLのカン幅は19mmと中途半端なもの。
ティントレットを付けるとなると、20mm幅のものを無理矢理押し込むしかない。(ベルトを小槌で軽く叩いて幅を狭くする)
ベルトを購入したお店の人がやってくれるというのでお願いしたところ、かなり大変だった模様で、作業に1時間近くもかかった。
店の前のスターバックスでカフェモカを飲みながら、作業が完了するのを待ったが、つくづく自分でやらないでよかった・・と思った(笑)
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キャンセル
D3 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
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さすがにそれどころではないと判断して、近く予定していた欧州行きをキャンセルした。
出張の手配をしてくれた馴染みの旅行社に、電話でその旨伝えた。
予期していたようで、スムースに事は運んだ。
当然ではあるが、いろいろな予定変更が入っているようだ。
一番多いのは、外国人の脱出だという。
国が用意したのか、それぞれの国の航空会社が、臨時の便を作り自国民を避難させている。
とりあえず関西に大使館を移した国もあるが、基本的には日本全土が危険と見ているようだ。
中には成田を立った飛行機が一度名古屋に降りて、そこでも人を拾って日本を脱出していった便もあるという。
それどころか、お隣の韓国も危険地域に入っているようで、成田から仁川国際空港経由という変則的なコースで避難民を乗せていく例まであるようだ。
一方で日本に入る便も規制されている。
台湾から日本に戻る便は、乗客が日本人ばかりとわかると、一方的に欠航になってしまったという。
出来れば行きたくないところに、自国民のお客が少ないなら、無理して行かなくていいだろう・・ということらしい。
その便に乗る予定だった人たちは、朝になって突然知らされて、帰国できなくなり慌てて別便を探す羽目に陥った。
また北欧から帰ってくるはずの知人の娘さんは、そのような危険な国には行ってはいけないという理由で、国から出国を許されなかったという。
そのような危険な国・・でも、じっと我慢して働かなければならない我々はどうなるのだと、旅行社の人と話した。
逃げ帰った人たちは、一時的な帰国という扱いだそうで、一応いつか帰ってくるつもりではいるらしいが・・・
今日の時計は、トレーサーのタイプ6ホワイト日本限定モデルに、モレラートのシリコンラバー製ベルトのカルドナッツォを付けたもの。
オリジナルのベルトは黒いナイロン製のミリタリーベルト。
自己発光のトリチウム・ガス充填ガラス・チューブを採用した、視認性の良さを誇るミリタリー時計であるが、実はこのホワイト・モデルは日中の視認性がべらぼうに良い。
しかもヘビーデューティで安価な時計なので、惜しげもなく、あちこちぶつけながら使うことが出来る(笑)
結果的に普段工場の中で使用するスタンダードとなっている。
カン幅は22ミリのようだが、それより微妙に狭い。
そのためシリコンラバー製のカルドナッツォを、少々押し込んで取り付けてやらなければならない。
このベルトはしなやかで感触が良く、デザインもタイプ6とよくマッチしている。
ただ欠点として埃を呼ぶ傾向があるようで、すぐに白茶けてしまう。
その時はコンプレッサーのエアで、埃を吹き飛ばしている(笑)
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雨の日
D3 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
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休日であるが雨が降っていたので、外には出なかった。
一日家にいるが、こうしていても、地面が小刻みにズンズンと揺れている。
それは、あの地震以来ずっと続いている。
ネット上とテレビ等の一般向けのマスメディアで、言っていることに大きな差が出ている。
しかし仕事上の責任のことを考えても、そう簡単にこの地を離れるわけにはいかない。
ここに生まれた以上、これも運命である。
それに遠くない将来に起こる可能性の高い地震のことを考えると、西はかえって危険な気もする。
地震の話題ばかりになるので、浮世離れしてはいるが、時計の話題も入れていこう。
もちろん僕の時計だから、高級機ではなく、ベルトとの組み合わせが中心になる。
毎日載せても数日かかるほど、いっぱい持っているのだ(笑)
これはスイスのフレデリック・コンスタントのスリムライン・デイトというクォーツ時計に、イタリアのモレラートのベルトを組み合わせたもの。
とても薄いクォーツ(ノギスでの実測は厚み6mm)で、凝ったギョーシエ入りのシルバーの文字盤には精密感がある。
その割には嫌味がまったく無く、価格も安価である。
カン幅は20mmで、オリジナルのベルトは黒い薄手の型押しカーフ、それをモレラートの型番不明のブラウンのものに交換した。
このベルトは旧型がお店に売れ残っていたもので、貴重だからと買っておいたもの。
オリジナルの方が合っている気もするのだが、シンプルなこの組み合わせも悪くない。
会社にしていくことの多いお気に入りの一本で、これ見よがしでないため周りからも好評である。
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落日
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雨が降る前に用事を済ませようと思い、あちこちに出かけた。
夕方になって銀座に行ったが、やはりいつになく寂しい光景であった。
銀座写真家としては、銀座のこういう姿も記録しておかないと・・・(笑)
外国のブランドショップは、お店を完全に閉めているところが多かった。
張り紙を見ると、計画停電のため店舗を運用できないと書いてある。
それでずっと休んで平気なんて、普段どのくらい利益を取っているのだろう・・と想像する。
外国ブランドばかりなので、もしかして放射能から逃げたのではないか・・という疑いを持つ。
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床屋に行き、出てくると午後6時を回っていた。
街は驚くほど暗くなっていた。
5時か6時で閉めてしまったお店が多く、さらには節電に協力して照明を落としている。
銀座のこんな光景を見られるのも珍しい。
面白くて写真を撮って歩いた。
こういう非常時には、やはりD3が一番頼りになる。
いつもなら睨まれるお店の撮影も、気兼ねなくゆっくりできる(笑)
D3 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
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行列
LEICA X1
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ガソリンを入れようかと思ったが、スタンドは行列になっていて入れない。
ガソリンの貯蔵量は十分にあるというのに、緊急時にはこういう事態に陥るのだ。
助手席におばあさんを乗せたおじいさんとか、普段乗らないような人までが買占めに並んでいる。
こういうものは、仕事に使う人を優先にしないと・・・
あきらめて一度会社に戻った。
電車が動かなくて車で帰宅したりしているので、燃料の残量が心許無くなっている。
仕方なく、行列がなくなった頃を見計らい、もう一度行きつけのスタンドに向かった。
売り切れという看板が出され、ロープを張って中に入れないようになっている。
僕の車を見ると、奥からスタンドのおじさんが出てきて、一部ロープを外して入れてくれた。
他の車が入ってくると困るので、すぐにまたロープを張る(笑)
多少のガソリンは残してあるので、顔見知りにのみ分けているという。
仕事で移動するのに必要な最低の量だけ入れてもらった。
スタンドの人たちは、疲れ果ててげっそりとした顔をしていた。
断ると怒り出すお客がいるので、精神的にまいっているようだ。
来週にはこのパニックも収まるのではないかと言っていたが、相変わらず毎朝のように行列ができている。
ある仕入元の社長は、日本を代表する某企業で経営学を学んだ。
氏はお金に非常にシビアで、細かいことでケチるし、利益の出ない仕事は一切やらない。
その効果か、かなりの財産を保有しており、高級車や別荘などを隠し持っている。
ところがいつも価格の安いスタンドを選んで回っていたものだから、このような事態になると、ガソリンを分けてくれる人がいない。
焦った氏は、現金で払うぞとお金を見せたが、あっさり断られてしまったという。
当人は、品物を届けることができないと弱り果てていたが、あの人のやり方では仕方ないと、周りの目は冷ややかだ。
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晩餐
LEICA X1
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仕事で疲れて帰ってきたので、今日は外食にしようかと、Mrs.COLKIDと駅の方に行ってみた。
ところが真っ暗・・・
ちょうど停電の真っ最中であった。
当然どのお店も営業していない。
がっかりして帰ろうとしたら、暗い中煌々と灯りをつけたお店がある。
近付いてみると、行きつけのフランス料理店であった。
外から覗いてみると、シェフとアルバイトの女の子の姿が見えた。
久しぶりに立ち寄ってみた。
フレンチを食べる気分でもなかったが、こういう特殊な日であるから、シェフと話もしてみたい。
シェフも喜んで迎え入れてくれた。
お客さんはほとんどおらず、窓際の席に座り、まずはビールを頼んだ。
暗い中その一角だけ明るいので、道往く人たちの多くが中を覗き込む。
しかしお店に入ろうという人はいない。
精神的に萎えてしまい、フレンチを食べようと考える人はいないのだろう。
そんな中、毅然とした態度でお店を開くシェフは、俺は死ぬまでこれで行くんだという気概を感じさせる。
暗い通りを歩く人たちを見ながら、復興の願いをこめて、Mrs.COLKIDとビールで乾杯した。
通行人はグレーや黒の暗い服の人が多く、顔つきも妙に沈んでいて、何だか既に世の中が滅んでしまったようにも見える。
そんな中、オードブルから始まるフルコースを食べた。
何でここだけ電気がついているのか聞いてみたら、多分並びに交番があるからではないかという。
本当の理由は謎であるが、ところどころに、そこだけ電気が通う場所があり、その理由については、住民たちが勝手な解釈をしている。
僕の住むマンションも、駅と隣接するためと想像しているが、電気が途切れていない。
シェフも、切れたらその時・・とお店を開いたという。
それにしても、とても不思議な気分である。
お店の外と内側の、妙なコントラストと違和感・・・
久しぶりにビールを飲んで、少々酔ったこともあるのかもしれない。
まるで最後の晩餐のようだ。
そうシェフに言ったら、さすがに苦笑いをしていた。
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戦時下
D3 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
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電車の本数を大幅に減らすとか、大規模停電とかテレビで言っているのを聞いて、慌てて早めに帰宅した。
自宅の周辺は停電しているのに、どういうわけか僕の家はまだ一回も停電していない。
駅に隣接していて、電源を共有しているためではないかと想像している。
せめて少しでも協力しようと、部屋を真っ暗にしてパソコンだけ電源を入れている。
ろうそくを立てて食事をしたが、暗くて食べているものが何だかわからず、まるで闇鍋のようだった。
勝手が違うためか、飲み込んだものが気管に入ってしまい、咳き込んだりした。
外は非常に寒いが、暖房は一切使っていない。
こういう時は、マンションの室内の暖かさが助かる。
会社で幾人かの来客と話したが、社員が6人行方不明になっているとか、海に近い工場が全滅して相当数亡くなったとか、人が死んだ話が普通に話される。
部屋の暖房も電気も節電のため消してあるし、まるで戦時中のようだ。
ある大手メーカーの営業の人は、本社から、東が壊滅した分を西の売上げを上げることで補うようにという指示が出たという。
被害を受けていない西日本から生産体制の再構築を行うという話と符合する。
業界の協同組合からは、大きな被害を受けて支払いが滞りそうな得意先の一覧が、ファックスで送られてきた。
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その時
D3 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
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今回の地震はふいをつかれた。
火山の噴火や数日前に起きた余震など、前触れがなかったわけでもないのだが、ほとんど予測していなかった。
地震雲も見なかったし、動物の宏観現象にもまったく気付かなかった。
自分のセンサーがいかにでたらめなものか知り、ちょっとショックだった。
会社ではかなり揺れ、立っていることはできなかった。
揺れと音がどんどん激しくなり、無抵抗で暴力を振るわれているような気分になる。
非常に大きな地震だが、考えていた最悪のものより、少し小さいようだ。
幸運にも、結果的に大きな被害は出なかった。
ガラスも割れず、機械の位置も狂わなかった。
あの状況の中、奇跡的と言っていい。
近所で大きな被害の出た工場もあるので、たまたま地盤がよかったのかもしれない。
揺れが収まったところで、従業員は整然と二班に分かれて外に避難した。
その後すぐに点呼を取り、全員無事であることが確認された。
以前よりこういう事態を想定しており、毎朝朝礼の時に出社している社員の点呼を取っており、その表と付け合せたのだ。
訓練通りで、非常にスムースであった。
避難が終了したのを確認してから、ひとりで工場内を見て回った。
強めの余震が連続して起こり、ガタガタと揺れていて危険だったが、火の気がないことを確認して、大元のブレーカーを落とした。
資材がいくつかひっくり返っていたが、機械の位置が狂うといった、厄介な被害はなさそうだ。
倒れた資材は後でゆっくり直せばいいと、そのままにしておいた。
ほどほどに収まったところで、パートを帰宅させた。
若手は元気いっぱいで、まだ仕事が終わっていないというので、トラックに積み込みをして、製品を出荷してから帰らせた。
僕は夜まで残り、火などが出ないかしばらく様子を見てから帰途についた。
その程度で済んだが、もし地震が直下型でもっと大きかった場合、このやり方ではとても通用しない。
ガラスが割れたり壁が落下したりして、工場内は滅茶苦茶になるだろう。
自分の身を守るので精一杯だろうし、怪我人も出るかもしれない。
そうなった時のことも考えて、何か対策を考えていた方がいいと実感した。
いろいろな意味で、教訓になる地震であった。
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