湘南オンラインフレネ日誌

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FW:7/23神奈川労働局(ハローワーク)講演会レポート(就労支援PJより)

2007-07-26 05:42:58 | 引きこもり
7/23(月) の就労困難若年者地域就労支援PJ主催の第一回目講演会は、神奈川労働局(ハローワーク関係)の行政との協働を探る流れの中で、職業対策課・職業安定課の仕事を紹介してもらいました。

講師を除く参加者19名。障碍児者の親御さんの比率の高い集まりとなりました。

初めに職業安定課・寺崎圭子若年者担当官から、「若者の使い捨て」といわれている非正規雇用の拡大と、正規採用へのハードルの高さが、若者の就労意欲の衰退に拍車をかけているという、厳しい現状が紹介されました。フリーター、ニート、引きこもりといわれる若者の不安定職歴が、正規雇用の否定的な材料になる現状を問題としてとらえ、ケースごとに機会あるごとに企業勧告している話がでました。

若者の就労意欲の減退に対して、「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」「若者の人間力を高めるための国民運動」「再チャレンジ支援総合プラン」という国の政策によって、神奈川労働局は、その施行を担っていること。学齢期の青少年に「ジョブ・パスポート」という就労体験を提供し、若年者に対しても様々な適性診断やトライアル雇用の施策を行い企業就労支援を行っているとのお話。

私たちから見て特筆すべきことは、藤沢ハローワークにて「若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム」がスタートしたこと。社会的引きこもり・ニートと呼ばれるひとたちの中に軽度発達障害(同年代6%・手帳を持たない就労困難者の半数近く)の困難があり、それは対人交渉の困難であることから、発達障害の枠の周辺からも就労へと結びつく大事な視座であることです。

一方、職業対策課・阿部正和課長補佐から、自立支援法下、障害者雇用促進法に基づいて企業の法定雇用率を上げる方策を打っていること。現在県下31箇所の特例子会社が増加の傾向にあるが、その雇用率をあげるには、ハローワークを中心とした「チーム支援」や、「ジョブコーチの積極利用をすすめ」「神奈川障害者職業センターによる職業リハビリテーション」をすすめていくとの話。特に福祉的就労ということで授産施設や共同作業所等施設で就労しているひとたちの雇用を請け負いノルマ制から給与所得制へと転換をすすめることや、ジョブコーチを育成し、職場のマッチングを進めるというはなしとなった。

今回特筆すべきことは、採用事例の少ない「精神障害者に対する雇用」「在宅就業障害者」への支援を強化すること、特に当人家族からの要請を受けて、ジョブコーチ派遣を実現するために、企業との調整をすすめることや、ジョブコーチ不足を補うために、養成に協力する話などが出されていました。この辺はQ&Aの中心テーマとなり、熱気ある質問が予定時間を超過して飛び交いました。

全体としては、必要性・緊急性に裏打ちされた話し合いでしたが、「ハローワークとの協働」(チーム就労実体化)や、軽度障害者就労が導き出す地域の居場所の論議まで話が追いつけなかったことがあります。「企業就労」の枠の中で今の就労状況をどう打開するかという内容が前面に出た講演でした。

司会者という立場から、あまり特定の方向へと話を誘導できないところでしたが、私は「引きこもり」青年に就労の基本スキルを身につけさせて就労、または就労イメージ作りという一連の流れが、「仕事とは徹底してプライベートな個人に属するもの」という前提がもともと歪んでいると思っています。賃労働ということです。「職は社会参加であり、仕事は協業の人の輪の中で価値付けられる」という「仕事という生き方」が不問のままで技能に流れていると思うのです。地域が彼らの居場所、活躍の場となることが、「引きこもり」青年たちの生きている内実につながっていくだろうということなのです。

この視点が、軽度~重度の障碍者がいわゆる健常者と手を取り合う道であるし、地域はその揺りかごなのだということです。この辺の議論は理想論。空論と片付けられそうなところです。生まれ・育ち・パートナーを得・後継者を得て・老いていくという生涯が、賃金による私生活(消費生活)確保・老いという必要な他者・喜びを分かち合える他者を獲得することを疎外していると思っています。

企業就労してもやがては老いる。そのころ両親は介護の対象の年齢または死去しており、成人後見制度を持ってしても、彼は再び孤立してしまう。その生涯にわたる人の輪・地縁をどうつくるかということのなかに、就労を考えられないのだろうかという思いがあるのです。企業就労は現状打開の大事な活動です。そのもうひとつ先を見通した論議がほしいのです。つまり「地域就労」の絵です。このとき「引きこもり」青年は有力なパートナーだと思うのですが。

まずは若年者就労の現状のところから、話が始まったのです。回数を重ね、私たちの協働のプランが浮かび上がっていけば、PJのちょうど畑を耕すような活動は。育てる芽を得るでしょう。大事な一歩が始まりました。

Q&Aに時間に迫られつつ、丁寧な応答をしてくださった神奈川労働局のふたりの講師の方々に感謝申し上げます。

(校正1回目済み)
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