日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

2015年10月27日 | 生活・ニュース


 「渋」、使い方や使用される場所などで誉めたりけなしたり意味が変わる。「あいつは渋ちん」、あいつ、に面と向かっては言えないが「あいつはけちだ」とののしる言い方。渋い男、渋い役者などは一目置かれるいい男の部類になる。決してイケメンという条件は必要ない。

 渋、これは「まだ熟していない柿などを食べた時の、舌を刺激する味(広辞苑)」とあるように渋と柿は切り離せないつながりがある。知り合いの棟梁は「木の家をつくる ~ 土に還る家づくり」をモットーに仕事をしている。彼は柿渋を用いる。これは渋柿の実から採取した液で、木や麻、紙などに塗って防水や防腐剤としている。臭いは強烈だが石油系防腐剤と異なり、その効力は長持ちし、年数が立つにつれ色あせしないで落ち着いた渋い色合いに変わる。

 有用な防腐剤を提供してくれる渋柿も、そのままでは人の口には入れられない。渋を抜く方法、柿の種類や家々によっても渋の抜き方はいろいろ。シンプルで簡単な方法は干してドライフルーツ風に仕上げる。これは皮をむき、紐に吊るし、風通しのよい軒下で陰干しする。我が家では渋柿が手に入ったときはこの方法で渋を抜いている。渋が抜ける理屈は知らないままに。ほかに焼酎やドライアイスによる方法もあるようだが、経験していない。

 祖母の渋抜きは熟すまで待つ方法だった。木箱に硬い渋柿を並べ、それをもみ殻で覆い隠し蓋をしてそのままにしておく。年が明けた寒い朝が来ると、柔らかい熟し柿になっている。もみ殻にどんな力があるのか不思議、この間手を加えることはなかった。祖母流の渋抜きを思い出しながら、今年もいただいた渋柿をドライ風に加工した。仕上がるまでにいくつか減ってしまうがこの味も格別だ。
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