「おちば」を変換すると「落ち葉、落葉」と二通り現れる。どちらが好みかといえば落ち葉がいい。落ち葉は晩秋の光景には欠かせない役者になる。公園の落ち葉を狙って写真作品を作りたい知人が「掃き清められ写真にならない」と嘆く。別の人が「落ち葉には風情がある、履き清めないで」と自治体に申し出たら庁内をたらい回しされたのか回答なしと書きこんでいる。放置すると雨などで思わぬ溢れや詰まりの原因になるとか。
JR北海道では落ち葉等による車輪空転が見込まれるため通常経路をさけ運転距離の長くなる迂回路を運行する日があるという。空転を避けるために遠回り路線があるというから、公共交通機関とはいえあっぱれという路線だろう。それにしても想像の出来ない落ち葉の山とはどのくらい積もるのだろう。雪もあるだろうから北の苦労を瀬戸内では想像できない。
通路とその周辺の落ち葉は箒だけでなくブロワ―を使って根こそぎというくらい1枚も残さずに除かれる。実に爽やかな光景になるが、この季節の落ち葉は格別な風情を演出する脇役でもある。カメラマンではないが、あまりに綺麗になりすぎると造形美のようで公園という自然の趣が失われる。
でも道を一歩外れるとそこにはそれまでとは対照的な落ち葉の積もった場所もある。そこは踏みしめられた跡もなくふわっとしていて、静かな枯れ葉の歌でも聞こえて来そうだ。このまま静かに自然へ還っていくのだろう。それが後世への役目のように。落ち葉焚きも出来なくなり秋の風情も大きく変わる。風情は変わっても時は過ぎる、今年も残り2カ月となった。