農家、特に中山間地域で農業を営まれる人の「獣害」については報道で知る。イノシシやサル、シカなどが畑や樹木の農産品を思うがままに食する映像を見る。こうした里山へ出没する野生動物に対し防御策を施してもそれに勝る攻撃に耐えきれず、また高齢化もあって農業を止められる農家もある。
山間部を走ると、畑や稲田の周囲にトタン板や鉄条網が張り巡らされているのを見かける。これはイノシシを侵入させない手立て。それでも少しのすき間を見つけ、時には柵の下を掘り起こして侵入、収穫直前の作物を食いつくしてしまう。集荷直前ということは作物の美味さが最高に達するころ、農家の方の無念な思いを晴らすやり場のない気持ちが分かる。
そのイノシシ侵入防止柵の設置の手伝いをした。この畑、防御用のネットは施してあったが百戦錬磨の野生動物には苦もなく掻いくぐられ、被害にあった。そこで今回は頑丈は柵を準備した。鉄線に樹脂コーティングした1巻20メートルほどの「防獣ネット」という商品をぐるり張り巡らした。トタン板と違い風対策が不要なので作業は予定通り済んだ。
いよいよ春に向けての植え付けが始まる。人間の開発という名のもとで自然の住みかを追われた野生の動物たちには申し訳ないが、農家の手による畑作物を人間は欠かすことが出来ない。そこのところを野生動物たちへ知らしめる策の無いことが、いたちごっこの攻防を繰り返している。この解決策は人間しか作れない。さてどうするか。