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三浦綾子『銃口 下』

2017年06月23日 22時42分32秒 | 文学
三浦綾子『銃口 下』(角川文庫)を読んだ。
上巻を読んだときにディケンズっぽいなと思ったが、やはり下巻もディケンズぽかった。
治安維持法や太平洋戦争の話をディケンズっぽく描かれたものをこれまで読んだことがなかったので新鮮だった。
”タコ”の金俊明はやはり登場した。ディケンズ的だった。
太平洋戦争は旧日本軍の非人道的な姿を、後に作家となった元兵士であるインテリが恨みを込めて描くものと相場が決まっているのだが、三浦綾子が元兵士でないこともあり、まったくこれまで見たことのないような軍隊が描かれる。
こんなに良い人ばかりの軍隊というものがあるのだろうか。
矢須崎という兵隊が極端に悪く描かれるが、彼こそ僕が思っている旧日本軍人の姿だ。
この矢須崎に北森は「天皇がそのようなことを望んでいるのか」と反論し、片耳が聴こえなくなるくらいの負傷を負わされるが、たしかにここで北森の言うことは説得的だった。
神聖な天皇を言い訳にして、やっていることはひどく残虐、という矛盾について、なんだか当然のことのように思ってきた(なぜなら旧日本軍は残虐な存在だから)けれど、どういう気持ちで兵士たちが残虐なことを行っていたのか考えたことがなかった。これは考えてみる必要がある。

たぶん、治安維持法で主人公の北森が捕まって、そこでものすごくひどい目にあうし、遭いそうになるし、あった人を見るし、で、もうお腹いっぱいで、これから戦争が始まるのか、と思っていたのでこのくらいいいひとがたくさんいる戦場というのがちょうどよかったのかもしれない。

話はかなりとびとびに描かれて、昭和天皇が死ぬ時代まで長く描かれる。
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近藤誠『がん患者自立学』

2017年06月23日 21時32分43秒 | 文学
赤川次郎の『幽霊列車』を図書館で借りて読んでいたが、「幽霊列車」「裏切られた誘拐」の二編を読んだところで「あんまりおもしろくないな」と思ったのでやめる。
赤川次郎の初期はおもしろいと聞いていたのだが、僕には合わなかった。

近藤誠『がん患者自立学』(晶文社)を図書館で借りて読む。
近藤誠の主張はいつもと同じなのだが、他の本と違うのは三砂ちづると編集者のふたりの聞き手がいて、彼の話を聞いているというところが違う。
やはり近藤誠の言うことは間違っていないのだろうなという思いを強くした。
がんになっても手術せずに、医者にもかからず、自宅で枯れるように死にたい。そもそもその前にがんを見つけられないようにしたい。
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