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加藤典洋『敗者の想像力』

2017年05月26日 00時36分06秒 | 文学
加藤典洋『敗者の想像力』(集英社新書)を読んだ。
前半とてもおもしろく、「敗者の想像力」という思いつきを手にしてわくわくしている感じが僕にも伝わってくる。確かに「敗者の想像力」が必要、と思う。占領期のころに、「自分の経験しない過去に遡ること」をすべきだと感じる。
『シン・ゴジラ』論もとてもおもしろい。

しかしここまで。
後半は、すこしだれる。いつもの話でなんとか話を繋ぐがあまり力がない感じ。
吉本隆明や鶴見俊輔などの御馴染みのメンバー。でもここには村上春樹がいない。
最後の大江健三郎の『水死』論は、ここまであの小説を読み込んでくれたひとはいるだろうか、というくらいの力の入れよう。裁判記録を読んで小説を読み解くなどということが果たしてあるのだろうか。普通そこまでできない。しかしそこまで読み込まなければ『水死』は読めないのだろう。僕には全くおもしろくなかった。
加藤典洋の論に従えば、このころ大江健三郎がどれほど孤独だったのかがわかる。その”同情”の気持ちをもとに少し読んでみようかという思いになりはしたのだが、過去の感想(ここここ)を読んでみて、やはり僕には退屈だろうなと思い諦める。

前半だけ、いつかあらためて読みたい。
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