開高健『人とこの世界』（ちくま文庫）を読む。たぶん沢木耕太郎を読んでいて、他にノンフィクションでおもしろい作家はいないものかと思い開高健を読んでみようと思ったのだと思う。よく憶えていない。
この本はいつか読もうと思っていて、良い機会だから読んでみた。
開高健がいろいろな人と会って、それを小説風に仕立て上げたような本だった。もうすこしドライに、開高健自身が出ていない感じの、文章はさっぱりしたものを期待していたのだが、そんなことはなく、開高健が全面に出ていた。
高校生のころは魅力的だったと思うのだがいま読むと、開高健の文章が暑苦しい。言葉を重ねるところが鬱陶しい。
また、”雲古”って言い過ぎだな。金子光晴の章は”雲古”の話しかしていない気がする。
興味のある人と興味のない人に鬱病の中で逢いに行って、それを文章にするのは大変だっただろうなと思う。そうなると手っ取り早くうんこの話をするしかなかったということなのだろうか。
井伏鱒二の章がいちばん良かったように思う。
