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ミラン・クンデラ『冗談』

2015年03月10日 22時38分11秒 | 文学
ミラン・クンデラ『冗談』(岩波文庫)読了。
マイケル・オンダーチェの『映画もまた編集である』のなかで、ウォルター・マーチが映画について分岐型と合流型という考え方を提示している。分岐型は同じ場所にいた複数の人物が分かれていく物語、合流型は別々に登場した人物が最後に合流する物語。
『冗談』は合流型の物語ということになる。
複数の人物が一人称の語りで各自の名前のついた章で語り、最後の章では複数の人物が次々と語る。(最後の章は誰がいま語っているのかはじめよくわからなかったのだが、日本語訳で「私」「わたし」「あたし」と人称を書き分けてくれていることに気付いてからはわかりやすかった。)
こういうのは「とてもおもしろかった」とはなかなか言えない。私の手には負えませんでした、というのが正直な感想。
「第3部 ルドヴィーク」の幽閉された感じ、「第6部 コストカ」の宗教者の考え方、のところが興味深かった。
しかしこれは、傑作なのだろうな、と思う。翻訳は読みやすかったが、私は完全に愉しめたとは言えない。なんだかもったいない。そんなような作品です。
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山田洋次監督『小さいおうち』

2015年03月10日 00時00分50秒 | 映画
テレビ放送を録画して、山田洋次監督『小さいおうち』を見た。
この作品は原作を読んでいる。そのときに山田洋次がこの女中の気持ちをどのように描くのかに興味を持っていたのだが、きちんと描かれていた。
この映画は普通に見ると、女中が最後に奥様の手紙を届けなかったのは奥様が世間の非難にさらされることから守るため、忠義のため、というように取れるのだが、女中の奥様への秘めたる思いという観点から見ると、そこには嫉妬があり、なんで倍賞千恵子が泣いていたのかが理解できる。
黒木華が松たか子の脚をマッサージする場面や、中嶋朋子の登場場面など、よく見るとそういう映画であると分かるようにできている。しかし「いまのへんな場面だったな」と思いながらもすぐに忘れてしまい、ただの反戦映画に見える。原作を読んでいないと気付かない。
おもしろい映画だった。
山田洋次はすばらしい。
日本映画ではいちばん好きな監督かもしれない。
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読まなかった本(辰巳芳子とパオロ・マッツァリーノ)

2015年03月08日 01時43分52秒 | 文学
図書館で辰巳芳子の料理の本を借りてくる(『いのちを養う四季のスープ』)。
DVDも付いていて、人参のポタージュとけんちん汁の作り方を見てみるが私には手間が多すぎるように思え、「こりゃ無理だ」と思う。もう少し雑に、適当な作り方じゃないとやる気にならない。この人の作り方には、ただ作って食べるという以上に、なにか、修行的なものがあると思う。
いまの私には合わない。
料理道みたいなものを求めたくなったら、またこの人に近づこうと思う。

その他、パオロ・マッツァリーノというひとの本が少し気になって借りてきた(『13歳からの反社会学』と『ザ・世のなか力』)。
しかし、あまりピンと来るものがなく、ぱらぱらとめくっただけ。
新たな人の本を試してみるのに、図書館というのはとてもいい施設だ。
買うとどうしても最後まで読んでしまう。
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アカデミー賞授賞式を見る

2015年03月07日 01時59分40秒 | 映画
NHKで「第87回アカデミー賞授賞式」を見る。
今年はレッドカーペットの前でスターたちの衣装をチェックする番組は放送されないようだ。たしかにあれはくだらないのでわざわざ日本で放送しなくてもいいと僕も三年くらい前から思っていた。
アカデミー賞授賞式は好きで毎年見てしまう。日本のアカデミー賞もやはり見てしまうのだが、アメリカのものと比較してどうしても見劣りする。なんでだろう、どうしてあんなに華がないのだろう、と思ってしまう。昔は、伊丹十三などが勢いがあった頃は、楽しかったな。もう日本映画にはスターがいないもんな(と遠い目をする)。
日米のアカデミー賞授賞式を見て、興味をそそられた映画をメモしておく。

周防正行監督『舞妓はレディ』
クリストファー・ノーラン監督『インターステラー』
デヴィッド・フィンチャー監督『ゴーン・ガール』
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

作品、というよりも、この監督こんなのを最近作ったんだなと思って興味を惹かれたものが多い。
『インターステラー』は少し映像が映っただけなのだが、興味を惹かれた。クリストファー・ノーランの映画はそういうものが多い。見てみるとわりと印象に残らないことが多いのだが。
あと、ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』というのもおもしろそうかなと思ったのだが、少し調べてそんなでもないかな、と思っている。思い出したのは『ビッグ・フィッシュ』とか『スラムドッグ$ミリオネア』で、こういう、嘘にうそを重ねたおとぎ話のような作品は、案外退屈することが多い。タランティーノは偉大だった。
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ジェームズ・M・ケイン『郵便配達は二度ベルを鳴らす』

2015年03月06日 00時39分31秒 | 文学
ジェームズ・M・ケイン『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(新潮文庫)読了。図書館で借りた。
大学生の頃にこの小説の映画作品を二つ見たはずなのに、話はさっぱり覚えていなかった。見たのはルキノ・ヴィスコンティ監督のと、ジャック・ニコルソンの出てるやつ。なんで二つも見たのかは覚えていない。当時映画は数を稼ぐものと思って、なんでも見ていた気がする。
丸谷才一が、カミュの『異邦人』にはこの小説の影響があるのではないかと書いていたので興味を持って読んでみたが「どこが?」という感じだ。
僕には共通点が見つけられなかった。
読みやすくておもしろい本だった。
裁判で絶体絶命だと思っていたらひっくり返るところが特におもしろかった(きわめて普通の感想です)。
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ロバート・B・パーカー『初秋』

2015年03月04日 00時58分39秒 | 文学
ロバート・B・パーカー『初秋』(ハヤカワ文庫)読了。
『約束の地』について丸谷才一が書いていたのでほんとうはそちらを買いに行ったのだが、なかったので有名なこの本を買った。
とてもおもしろかったが、これがシリーズでの最高傑作だという話を何度か聞いたことがあるので、他の本を読もうか迷う。これ以上おもしろいものはないということなのだろうか。
これが探偵小説であるかどうかには最後まで疑問が残った。
最後までたんたんと話が進み、あっと驚くとかそのようなことは一切なかった。これはシリーズ通して同じなのだろうか。読むのが一作目なのでわからない。
私の印象では、普通推理小説や探偵小説は、どこかで読者に置いてきぼりを食わせて、読んでいるけど探偵が何を考えて行動し始めたのかよくわからない、というふうなことになり始める。そして最後に、ああそういうことだったのか、というふうにつながる。
そういうことが一切なかった。
しかも誰も殺されない。
いや一人殺された。スペンサーの友人ホークが最後に殺した。
これはびっくり仰天の探偵小説だった。
しかしそのような、「物事を一見もっともらしい名前の下に分類する」(94頁)ことはもうやめるべきなのかもしれない。これが探偵小説かどうか、そんなことはどうでもいい。
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ロバート・B・パーカー初体験

2015年03月03日 01時04分04秒 | 文学
ロバート・B・パーカーの『初秋』を読んでいる。
はじめ、なんだか気分が乗らなくて、ぜんぜんおもしろくない、カタカナの使い方が古い、しかもカタカナが多い、何のことを言っているのかわからない単語が多い、と思っていたのだが、読み始めるとすぐにおもしろくなり、おもしろいまま半分くらいまで読んだ。
しかしこれは推理小説なのだろうか。
いまのところ誰も殺されていない。謎というほどの謎もない。(私にとってのいちばんの謎は主人公スペンサーとその仲間たち(スーザンとホーク)の関係だ。初めて読むシリーズなので関係がよくわからない。)
なぜここまで父親は息子を取り返そうとするのか、それが謎と言えば謎か。
スペンサーが無気力な男の子を山小屋に連れて行って、早起きさせて運動させるという話で、これまでこんなお話の本をあまり読んだことがない。村上春樹の何か、『海辺のカフカ』とかに近いのかもしれない。設定としては、懐かしい某ヨットスクールを思い出させる。
会話が多くて、手軽に読めて、しかも適度に感心させるという素晴らしい本だと思う。
シリーズを順番に読んでいってもいいかもしれない、と思っている。
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ロールキャベルとミネストローネとけんちん汁

2015年03月02日 00時51分07秒 | テレビ
昨日は初めてロールキャベツを作った。作り始めるのも遅かったのだが時間がかかりすぎて、夕飯には間に合わなかった。夕飯は妻の作ったチヂミを食べた。
ロールキャベルは妻の実家に持って行って今日の昼に食べた。
また作りたい。
初めて作る料理はわりとわくわくする。途中で失敗するかと思っても諦めずに最後まで作って食べるしかない。それがなかなかおもしろい。
NHKの「スイッチインタビュー達人達」で辰巳芳子の話を聞いていて、ミネストローネとけんちん汁が作りたくなった。
むやみに厳しくて難しそうな気はするのだが、彼女のレシピ本を買って作ってみようかと思った。しかし良い本が出ているのだろうか。

妻の実家でWOWOWを見ていたら「アカデミー賞授賞式」(アメリカの)をしていたので少し見た。
『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』以外では、『セッション』に興味を持った。
今度、NHKでも授賞式の放送があるのできちんと見ようと思っている。
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小澤征爾・村上春樹『小澤征爾さんと、音楽について話をする』再読

2015年03月02日 00時08分14秒 | 文学
小澤征爾・村上春樹『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(新潮文庫)を読んだ。再読。
このところクラシック音楽を少し聴いているので、前回読んだときよりも興味をもって読むことができた。
具体的に誰かの、何かの演奏を聴きたいというふうにはならなかった(小澤征爾の指揮する演奏を聴きたいとすらあまり思わなかった)のだが、クラシック音楽についてまた知りたいなという気持ちにはなった。良い本だと思う。
クラシック音楽についてのいろいろな本を読んでみるが、グレン・グールドの名前が必ずと言っていいほど出てくる。衝撃が大きかったのだろう。
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