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ミラン・クンデラ『冗談』

2015年03月10日 22時38分11秒 | 文学
ミラン・クンデラ『冗談』(岩波文庫)読了。
マイケル・オンダーチェの『映画もまた編集である』のなかで、ウォルター・マーチが映画について分岐型と合流型という考え方を提示している。分岐型は同じ場所にいた複数の人物が分かれていく物語、合流型は別々に登場した人物が最後に合流する物語。
『冗談』は合流型の物語ということになる。
複数の人物が一人称の語りで各自の名前のついた章で語り、最後の章では複数の人物が次々と語る。(最後の章は誰がいま語っているのかはじめよくわからなかったのだが、日本語訳で「私」「わたし」「あたし」と人称を書き分けてくれていることに気付いてからはわかりやすかった。)
こういうのは「とてもおもしろかった」とはなかなか言えない。私の手には負えませんでした、というのが正直な感想。
「第3部 ルドヴィーク」の幽閉された感じ、「第6部 コストカ」の宗教者の考え方、のところが興味深かった。
しかしこれは、傑作なのだろうな、と思う。翻訳は読みやすかったが、私は完全に愉しめたとは言えない。なんだかもったいない。そんなような作品です。
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