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カフカ『変身』感想

2012年03月11日 11時20分12秒 | 文学
カフカ『変身』(白水uブックス)を読んだ。
新訳(というほどもう最近ではないのだが)ということで、昔読んだ時と印象が違うかと思ったのだが、ぜんぜん変わらなかった。
虫になった主人公は、「引きこもり」とか「老人介護」とか「認知症」とか、そのようなこととして読めるのだなと、思った。
ずっと、虫になった兄に食事を与え続けてきた妹が限界になって「これは兄ではなくへんな生き物だ」と思ったところで主人公は人間ではなく虫となりそして虫として死んでしまうのだなと思った。
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辻邦生『西行花伝』

2012年03月11日 00時23分18秒 | 文学
辻邦生『西行花伝』(新潮文庫)読了。
読み始めたころは「いつまででも読んでいたい」と思っていたが、最後のころは「いつまで続くんだ、この本は」という気持ちに変わってしまった。
時間をかけて読み過ぎたことが一因だろう。
西行本人も含め、いろいろな西行ゆかりの人が登場し、その時代についてリレー方式で語るのだが、設定はリレー方式でも結局ひとりで語っているようにしか思えず、そこに退屈さを感じてしまったような気がする。
それと語られる思想が、(偉そうに言うと)西洋哲学からの借り物のような気がして、そこが古風な日本思想っぽいものを求めていたのにちょっと違うかなという気がした。西行ってサルトルの『嘔吐』みたいだなと思うところがあった。
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マーティン・ブレスト監督『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』

2012年03月03日 23時28分07秒 | 映画
録画していたマーティン・ブレスト監督『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』を見た。
少し長く、おしまいの学校でのアル・パチーノの演説シーンはいらないんじゃないか、みんなに拍手喝采されるような人間じゃないぞ、と思ったが、とてもおもしろい映画だった。
目が見えなくなって他人に当たりちらして死にたがりのろくでなしのアル・パチーノが、若くてけがれのないクリス・オドネルと旅をする話で、非常に夏目漱石の『こころ』を思わせる映画だった。
ずっと綺麗なままで生きていければいいけれど、人間というのはやがて闇を抱えて生きていかざるを得ないものだということを考えさせる話だった。
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