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☆カミュ「シーシュポスの神話」

2008年03月10日 23時06分29秒 | 文学
シーシュポスの神話 (新潮文庫)カミュの「シーシュポスの神話」を読んだ。
人間の知性が自分自身が死ぬことを明らかにするのに対し、その恐ろしさに耐えられず本能が物語を作って永遠の生や死後の世界の話を作るというベルクソンの話をちょうど引き継ぐように、カミュは、そのような物語に逃げずにその不条理の状態にとどまれ、と言う。
ベルクソン、アラン、カミュの三人はなんだか同じことを言っているなあ。三人で手を変え品を変え僕に語る家庭教師のような存在だ。これだけ繰り返し言われればどんなアホでも少しはわかるというものだ。
カミュはアランと違いプルーストを評価しているので嬉しい。
ドストエフスキーは不条理の状態にとどまり続けないで、小説の最後で宗教を受け入れるので、不条理な作品とは言えず、不条理な問題を提起する作品ということになるらしい。しかしドストエフスキー自身はイワン・カラマーゾフに近い考えだったというようにもカミュは言っていた。
この本を読んで、なんとなく、ドストエフスキーの読み方がわかったように思う。
カミュはカフカの小説を評価している。たしかに不条理に留まっている。
それとメルヴィルの「白鯨」も相当評価している。これも気になる。

同時代のジッドやサルトルの話は全く出てこない。マルローを評価しているようだが、今の日本にはマルローの本なんかどこにもないので読みようがない。
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