現在、生き物の生態を知りたければ、テレビ番組やネットで検索すれば動画などが見られますが? やはり、自分の目で確認し、体験することが重要です。
それは、ネットやテレビ番組などで紹介しているものは、ほんの一部だからです。実際には個体の能力や生き物の種類によって様々な生態があります。
例えば、皆から嫌われている「カラス」などは、本当に賢い生き物です。
生き物の賢さを数値化したものが「脳化指数」と言いますが、身体の大きさに脳の大きさや重さの比重です。
人=0.89、イルカ=0.64、チンパンジー=0.30、カラス=0,16、イヌ=0,14、ネコ=0,12です。脳化指数だけで判断すると、頭の良いと言われている人間、イルカ、チンパンジーにつぐ脳化指数であり、人間の言った言葉をそのまま返すオウムやインコより、僅かだが知能の良し悪しは判断出来ます。
私が以前に地元の大学の研究グループと幼稚園児に協力して貰い、カラスの学習能力についての実験を行った事があります。
実験の内容は、人の顔の認識力についてです。正解すると餌の御褒美を用意しました。
空き缶にカラスの好きな「脂身」を入れて、デジタル写真で写した、私の顔の缶だけに餌を入れておきました。
カラスは、とても目がよく、視力は3.0以上と予測され、6倍程度の双眼鏡を人が見ているほど見えています。
但し、さほど嗅覚に関しては鋭くなく、その分、カラスの仲間などの鳴き声は、30種類以上と言われ、警戒鳴きや仲間の位置関係を確認する鳴き方など様々な鳴き声でコミュニケーションしています。
実験では、何回か試して正解率を弾き出しました。何度目かには、私の写真を変装、帽子を被った写真を缶に貼り付け実験しましたら、カラスは正解し、餌を食べられましたが、幼稚園児の10人の内、7人しか正解出来ませんでした。
こうしたことから、幼稚園児は6歳児ですから、カラスの正解率は98%と高い確率なのに対して、6歳児の正解率は70%程度でした。
つまり、学習能力とくに「瞬時記憶」に関しては、カラスの方が6歳児よりもよく、人の7歳ぐらいの学習能力があることが判明しました。
何故、カラスはこんなも賢いのかと思い、死亡したカラスの脳を解剖し、脳神経細胞を顕微鏡で確認したら驚きました。
10gしか無いカラスの脳みそ、大脳と小脳の発達が著しく、人の脳のように皺は少なく、はっきりとしていなのに、それでも賢いのは「脳の大きさや重さ」ではなく「脳神経細胞の密度」ニューロンネットワークの伝達がよいことが分かりました。
私が長年「野鳥観察」を小学校の子供たちに指導して来て、カラスの生態はまだ謎めいたところが沢山あります。鳴き声の種類は専門家の先生が長年の研究から30種類以上確認されています。
以前に、私が何度かカラスの死体や死に際に立ち会った事がありますが、それは他の野鳥と違い、仲間が木の上から悲しげな鳴き声で、私のことを見ていました。それはまるで「仲間の葬儀」をしているのだと思ったほどです。
タカなどに襲われて致命傷を負って亡くなったカラスを葬るように仲間が何羽も鳴き交わします。こうしたことから、「カラスは葬儀」をしていると思われます。
仲間のカラスが、守って上げられなくてごめんとか!可哀想だけどあの世で幸せで居てくれと言って鳴いているように私には感じました。
カラスは嫌われている生き物(野鳥)ですが、決して悪物でもありません。
カラスも子孫繁栄のために必死に生きています。以前にカラスを悪物扱いにして、ゴミを漁る、散らかすという事だけで! 前都知事は2万羽ものカラスを殺処分したことで、都心の生態系が乱れ、ドバトが異常繁殖し、糞害など「動物性由来感染症」が危惧されました。愚かだったのは前都知事でした。
カラスも生き物にも「尊い命」があります。役割を持って「無駄な生き物はこの世には無いということです」。
私が2000年の夏に、こうして野生動物やペットの殺処分、テスト動物の扱いなどに関して苦言を当時の法務大臣に申し立てし、法律の改正を求めて、同年の12月に「愛護法」が制定された経緯があります。
野生の生き物と共に暮らす、共存する世の中でないと環境変化や「動物性由来感染症」などから、新型コロナウィルスのような世界的な脅威にもなるということを私から警鐘を鳴らして参ります。
センスプロデュース研究所、葛西行彦