山梨県立文学館

2024-07-28 00:00:27 | 美術館・博物館・工芸品
ミレー館で有名な山梨県立美術館に行った折に同一公園内に向かい合っている山梨県立文学館にも寄った。



美術館の数に比べ文学館というのはかなり数が少ないというのは仕方ないところで、美術館は絵画や彫刻という完成品が並ぶが、文学というのは言語が書籍になっているという特徴があり、本を並べても装丁を観たところで本に書かれていることを読んでいるわけでもないわけだ。

山梨の文学館と言えば、山中湖にある三島由紀夫の文学館が有名だが、なぜ、そこに三島があるのかというのは、よくわからない。そもそも三島由紀夫の小説はほぼ全部読んでいるが、作家としてもよくわからない。



甲府の県立文学館は、山梨県に縁のある作家たちに焦点を合わせているとなっているが、少し違和感があったのは、太宰治とか芥川龍之介とか出生の地が有名なので山梨とどうゆう関係なのだろうかと考え込んだが、理由は書かれていた。パンフレットには5人の顔が並ぶが、左側の上が芥川龍之介、左の下が太宰治。右の上は旧五千円札の樋口一葉。この3人は山梨県生まれではない。太宰治は青森県の五所川原生まれで生家は斜陽館となっている。生まれた部屋に行ったこともある。妻が山梨出身。病気療養で山梨に滞在し、富岳百景という私小説を書いている。樋口一葉は両親が山梨で生まれたということ。芥川については、山梨文学館が力を入れて資料を集めているということで、特に関係ないらしい。

そして残った二人だが、左の中央は飯田蛇笏、右の下は飯田龍太。俳人親子だ。この二人は正規山梨人。

いわゆる作家で山梨県出身というと、有名なのは深沢七郎。それと山本周五郎。もう一人探し出したのが李良枝という女流作家。名前でわかるように在日の女性作家だが夭折してしまった。なぜ、公的な文学館でこれらの人物が片隅に置かれているのか。まあ、書籍の内容が反政府的だからだろうか。