書評:日本<島旅>紀行(斎藤潤著)

2009-06-10 00:00:54 | 書評
simatabi「知人の書いた新書シリーズ」は三冊目というかこれで終わり。島国日本のさらに離島をとりあげた紀行である『日本<島旅>紀行』。著者は、日本最大の旅行会社で、世界の旅人(というか「旅人に奉仕する奴隷」である添乗員)とか経験していたと思うが、一転、退職して本物の旅人になり、あれこれ紀行を書いている。

ところで、<島>をとりあげたエッセイは多い。ある意味、ロビンソンクルーソーや家族ロビンソンだって、冒険小説ではなくエッセイという考え方もある。孤島で小説を書いても読む人がいないなら、エッセイということになる(ただし、売れない小説を書いてもエッセイとは言わない)。

一つの島にこだわり、そこにフォーカスした文学といえば、例えば三島の潮騒とか、瀬戸内少年野球団、小豆島の「○十○の瞳(数字が思い出せないので、伏せ字)」。三宅島の流人の話だってある。

この島旅は、そういうのと全く逆で、「たくさん回る」というコンセプト。

280ページに35位の島が紹介されている。あくまでも、自分で行って調査している。江戸時代だったら、すぐに「オランダスパイ」として、逮捕されるだろう。

しかし、実際問題、定期便のない島に渡ろうとするのだから簡単ではない。世の中、カネ次第とは言うものの、カネがあっても船がなければ島に渡れない。どこから船が出ているかを調べるのも大変である。そういう困難を乗り越え、離島に渡れば、島民は、のんびりと暮している。

まあ、島が多すぎて、島民の生活、そして思想に食いこむことまでは、この本ではできなかったと思うが、読むと、島に行きたくなるような思いになってくる(行かないけど)。自分を振り返れば、碌に島にいったことはなく、伊豆大島、淡路島、小豆島、井口島、伯方島、直島、向島。ずっと離れて、石垣島、西表島、竹富島。そんなところだ。

ところで、この本は、図書館で借りたのだが、以前にこの本を借りた人の貸出明細書が挟まっていた。

4冊借りているのだが、

1. 日本<島旅>紀行
2. 日本全国離島を旅する
3. 離島発生き残るための10の戦略
4. 東京の島

いったい、何をしようと、この4冊を借りたのだろうか?

東京都所属のどこかの島で、サバイバルゲームをしようというのだろうか。
あるいは、「三宅島に島流しにされそうな人?」。確か、江戸時代の三宅島送りと言えば、なまくら坊主の習慣的女犯と決まっていたようなものだ。三宅島は伊豆七島の先の方で、黒潮の先である。小船で島抜けをしても黒潮に乗って、どこまでも漂流してしまう。

北国からのミサイル攻撃に耐えられるように、島に避難した後の始末ということだろうか。

ところで、新書を三冊読んだのだが、一昔前は、「三冊新書を書くと、一生遊んでいられる」とも言われたようだが。現代の本離れ状況下では、1年分の家賃くらいにしかならないのかもしれない。


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