奇跡のシンフォニー(映画 2007年)

2018-08-16 00:00:14 | 映画・演劇・Video
日本の音楽映画の場合、アマチュアのシロート演奏家が、なんらかのきっかけでメジャーを目指して努力して、様々な困難と挫折を乗り越えて一流の仲間に入ることができるという展開が多い。シロートというのが、高校生だったり、アマチュアバンドだったり、高齢者楽団だったり。(音楽に限らず、野球やバレーや相撲や駅伝などでも同じ展開になる)

ところが『奇跡のシンフォニー』の主演の少年(フレディ・ハイモア)は、孤児院で暮らす11年の間、じっと両親があらわれることを願っていながら、突然、彼にしか聞こえない魔法の音楽に誘われるように、院を脱走する。そしてマンハッタンでストリートミュージシャンに弟子入りするのだが、湧きあがる才能を持て余し、ついにジュリアーノ音楽院に才能を見出される。

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つまり、日本型成功ではなく、「生まれながらに持っている少年」なのだ。このあたりが、感情移入しづらく、ちょっとさめる点だ。さらに12年前に一夜の情熱で、少年を妊娠してしまったバンドマンの父とチェロが上手な母親は、結婚することなく、さらに子供が生まれたこともなかったことにしようとしていたのだが、この二人も何らかの見えない力によりマンハッタンに近づいていくわけだ。同じ「院」でも、孤児院と音楽院は大違いなのだが、その橋渡しには教会が使われる。神の御加護ということなのだろうか。信者ではないのでよくわからない。


そして、公園での公開音楽祭で母親の演奏が終わった後、少年が自分が作曲した交響曲を指揮し、神童ぶりを披露するわけだ。

彼の年齢の設定は、モーツアルトを意識しているのだろうが、何も映画なのだから本物の神童を意識しなくてもいいのにと思う。ギターの練習を6か月も続けて撮影に臨んだのが実態だ。

そして、今年は2018年なのだから公開から11年経っている。では少年は今、何をしているのだろう。答え:フレディ君は、ケンブリッジ大学を卒業したわけだ。語学が堪能ということで、英語圏以外でも映画出演OKらしい。

ところで、なぜ、バラバラに生活していた母と父と子の3人が、突然、他人には聞こえない音楽を聴いてNYに集まってきたのだろうか。答えは簡単だ。映画で「感動的な再開シーン」を撮影するからなのだ。


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