人よ、花よ、(今村翔吾著 歴史小説)

2024-04-04 00:00:00 | 書評
朝日新聞の連載小説『人よ、花よ、』が3月末で完結した。全576話。歴史小説で、主人公は楠木正行(まさつら)。幼名は多門丸。



連載開始の時に、驚いたのは、楠木正行の父は楠木正成(まさしげ)。今も皇居に銅像があるように、後醍醐天皇の親政を行うために鎌倉幕府と戦い、その後、足利政権に移行する中で、天皇側について戦うことになり、少人数でも奮闘し、最後は戦死している。その子の正行も、機をとらえ南朝の後村上天皇の時代に北朝と戦い、敗死している。

ついに朝日新聞もここまで変わったのかと思ったわけだ。

実際には南朝側は後村上天皇の周りには北畠親房という狸がいて、天皇も正行も南北朝統一の時期と考えていたにもかかわらず、戦いを始めてしまう。

全編を通して正行は冷静に行動をするので、小説としては面白くない。小説を読む方は、まった極端な性格の人物の方がおもしろいということになのかもしれない。