ボトルラインの話

2005-08-26 21:20:16 | マーケティング
ec18ebc5.jpgボトムラインではない。それでは私の生活水準の話になってしまう。「ボトルライン」の話だ。聞いたことがない単語だろうが、それもそのはずで、2分前に考え付いたことばだ。

少し前に、時々行っていたバーがある。赤坂。主にカウンター方式で、中に入っているマスター(経営者)とか、雇いの女性と雑談可能で、簡単なツマミ(といってもカワキモノではない)もでてくる。普通は2~3人で行き、2時間ほどの無駄な時間(有益な時間ともいう)を過ごしたあと、三々五々に帰っていく。ウィスキーのボトルをキープしておく。一杯ずつ頼んでもいいが、面倒の極みだし、早い話が高くなる。ボトルキープすると、普通は追加コストはほぼなく、3回に一回位は5,000円位支払いは高くなる。(経営学的に言うと、割高な変動費か、割安の固定費かの選択)。

店舗形態は、いたって、あいまいで中途半端な経営であるといえばそれまでだが、各テーブルに女性がやってくる銀座方式でもなければ、古典的なBAR方式でもない。そして、最大のポイントは経営者が元銀行員であることだ。聞けば、元の店がつぶれて担保で押さえたものの、売却するにできず(随分焦がしたのだろう)困っていたのを、ちょうど早期退職でやめる行員が経営を引き受けたということ。まあ、この種の経営は、なかなか帳簿のタテヨコが合わないだろうが、そういう意味だと、銀行員はお似合いかもしれない。そして、客単価はほぼ5,000円くらい。要するに、そのクラスの店ということ。

しばらく足を運んでいたのは、こういうあいまいな店は、「二軒目にちょっと寄って」に便利というのであったのだが・・・

ところが、ある時、ふと気が付いたのだが、いきなりテーブルに置かれるボトルの中のウィスキーの残量が少し減っているのではないだろうか?と疑いがよぎる。まさか、銀行員が?いや元銀行員だからこそか?とか色々な疑問が頭の中をカラー渦巻きで回る。そして、思いついた検証方法は、帰り際に、液面のラインに合わせ、ラベルに小さな目印の線を書き入れる。そして次回に確認したのだが、驚くことに約7ミリほど減っている。私の知人が来て勝手に飲んだとは思えないし、新たなボトルを入れ直したとするとこのラインそのものも消滅しているはず。自然蒸発か?ありえない。そして、二度三度にわたり、不自然な蒸発が確認された段階で、人為的行為として確信したわけだ。

ボトルキープシステムでは、すでに顧客が代金を払っているのだから、店舗側は顧客の商品を保管しているということであるのだから、保管料のつもりなのだろうか。逆日歩か?。おそらく、スポット客がシングルの水割りでも注文した時のため、少しずつ掠めているのだろう。

当然ながら、その後、ボトルを空にした後、「しばらく来なくなるから、次のボトルは入れないでいいから」と自然なお別れをしてしまった。例は悪いが、付き合っている異性がちょくちょく自分の財布から1,000円札を失敬するような話だ。

ところで、この話を、もう少しだけ高級(予算8,000円/人)店のチーママに意見を求めたところ、意外な答えだったのだ。「逆」、というのだ。基本的にボトルキープシステムであると、何らかの理由で期限切れとなるものが出る。そして、保管場所に余裕がある間はとっておけるが、それにも限界はあるし、1年近くたてば、所有権放棄とみなしてもいいし、もとより会社のカネをつかって交際費にしている人たちの場合、サイフの痛みを感じないわけだ。その結果、処分すべきウィスキーが溜まるとどうするかというと、キープしている現在の顧客の液量に足してしまうということだそうだ(品質劣化はないから)。

つまり、もともと顧客毎に来店パターンがあって、1本のボトルを小刻みに使う人とか、無造作に使う人とかいろいろなのだが、ボトルが最後の1センチとかなると、次に来なくなったりするそうなのである。つまり、次にくると残り1センチまで減りそうなボトルには、あらかじめ注ぎ足しておくそうなのだ。酒屋ではないのだから利益の源泉は、ボトル販売個数にあるわけではなく、累計顧客数にあるというわけだ。奥は深い。元銀行員敗れたり!(かな?)


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