くらべる東西(文:おかべたかし、写真:山出高士/文化論)

2023-01-16 21:27:17 | 書評
「いなり寿司」、「銭湯」、「カルタ」、「桜餅」、など同じ言葉で、日本の東西(主に関東と関西)で異なる文化を比較したもの。電子書籍で画像付きだが、文章も画像もコピーも転載しても犯罪者になると書かれているので、文章もそのままは引用しないことにする。

実際には、なぜ東西で異なるのかの明確な理由はわからないが、「よくいわれる理由」などが紹介されている。全34種類。

決定的に東西で違うものは、食材に多いと思う。いなり寿司、おでん、桜餅、七味唐辛子、ぜんざい、タマゴサンド、ちらし寿司、ねぎ、ひなあられ。

いなり寿司は東は巾着で西の△包は狐の耳らしい。桜餅は餅の形状が平らなのが東で丸いのは西。ひなあられは、東はコメのポン菓子だが西は小さなあられということ。まったく見たことがなかったのが、東のぜんざい。液体じゃないわけだ。味は想像できるが。

東の縄文土器が手が込んでいたのは西よりも多くの人が住んでいて社会構造が立派だったからだそうだ。例の7300年前の南九州の鬼界カルデラの火山大爆発で縄文時代の人たちに壊滅に近い被害を出したからなのだろうか。

落語の東西の差は本書に書かれていることよりも大掛かりに異なっている。猫のシッポの先が鍵型に曲がっている鍵尾猫は東に多いそうだ。西の猫は尾が長い。猫又になるのは尾が長い猫と考えられたからだ。

黒いタクシーは西に多い、というのは本当だろうか。確かに東ではほぼみない。黒と言えばハイヤーだ。新聞記者が良く使っている。

もっとも、現在は東西の文化は日本国内で混在の方向を示しているそうで、そのうち一元化というより多元化していうだろうと思う。白いネギと青いネギが同時に存在してもいい。

最後に、「いろはカルタ」。いろはにほへと・・・の48文字を冠に持つことわざが書かれたカルタだが、東西のいろはカルタで同一なのは「月夜に釜を抜く」だけだそうだ。ちなみに最初の「い」では、東は「いぬもあるけば、ぼうにあたる」と事故防止キャンペーンの標語風。西は「いっすんさきは、やみ」とサスペンス的。