オール・ザ・キングズ・メン(1949年 映画)

2023-01-23 00:00:43 | 映画・演劇・Video
政治映画のお手本のような作品。実在したルイジアナ州知事ヒューイ・ロングをモデルとしている。

純粋な政治青年が、落選を繰り返すうちに、市民の不満を饒舌に煽り立て、票にしていく術を知ることになる。そして不正行為が行われている既存政治に穴を開け、ついに州知事に辿り着くが、そこから彼は自らの政治生命を保つために、ありとあらゆる不正行為に手を染めていく。あくまでも市民のためという言葉のために、無料の病院、学校、大きすぎる公共事業により州財政には穴が開いてくる。

そして、政敵を倒すためには手段を選ばず、アメリカ合衆国の大統領の椅子を思い描き始める。

しかし本映画の主人公は、その州知事ではなく、駆け出しのころからの州知事の取材を続けてきたジャーナリスト。および、その恋人。政治家のブレーンなのか、あるいはジャーナリストなのか、彼の心は揺れ動く。

実在のヒューイ・ロングは大統領選を目指していたが、暗殺されてしまい、大統領はルーズベルトが選ばれる。

余談:本映画でジャーナリストを演じたジョン・アイアランドとその恋人を演じたジョアン・ドルーは後に結婚し、その後離婚する。米国政界の腐敗をテーマにしているため、日本ではGHQが公開を禁止した。

2006年にはリメイク映画が公開された。同じあらすじなので、モノクロからカラーになっただけとも言える。

日本ではこの手の政治の裏側の暗黒映画がないのは、既知のこととして当たり前すぎて観客を集められないということだろう。