4630万円をつつく

2022-06-05 00:00:06 | 市民A
いわゆる「4630万円誤入金問題」。しばらく成り行きを鑑賞していた。

1. まず、『誤入金』という表現
 誰が名付けたのかわからないが、かなり変だ。そもそも入金というのは、口座に誰かが送金することが基本だ。受け取る人がする行為ではないので誤って入金するという行為が起こるわけはない。直接的には『誤振込』とか『誤振込依頼』と思う。つまり出発点は阿武町側にある。

2. フロッピーの使用
 フロッピーを意図的に使っている組織もある。なぜならかさばるし、万一紛失してもすぐには内容を確認することができない。そもそもフロッピーに重要記録が入っているなんて思わないし。私が知っているのは、ある大学。試験問題をフロッピーで取り扱っている。もっとも、いかにも重要資料のようにみえて逆に危険かもしれない。

3. 振込依頼書自体が、代表者1名に支払うように読めること
 フロッピーだけもって銀行にいくべきところ、同時にプリントアウトされた1枚の振込依頼書を持って行ったところ二重振込になったのだが、その紙自体が危険ではないだろうか。おそらく役場内での帳票なのだろうが、迂闊すぎる。大きな文字で「役所外持ち出し禁止」と記載しておくべきだった。

4. 印鑑は?
 仕事がデジタル化されているわけはないだろうから、印鑑があったはずだ。フロッピーに印鑑は押せないので、何か添付資料があったのではないだろうか。それとも銀行員にフロッピーを裸で渡して、「よろしく」といって帰るのだろうか。そもそも、町にとって大金の支払いなので、事前に電話位するのではないだろうか。

次に、入金した容疑者の話をすべきだが、その前に阿武町のことだが、地図で見ると北は日本海に面しているが東西南の三方を萩市に囲まれている。阿武町以外の市町村が萩市と合併したのに独立を保ったわけだ。そういう場所は全国にいくつもあるが、合併しない理由は独立採算の方が有利だからなのだが、萩市はもともと長州(毛利)藩の城下町で観光地である。一方阿武町は近年さらに人口減少を続けて3000人以下で村の規模になっている。なぜ合併しなかったのかわからない。

5. 海外カジノの利用
 容疑者はギャンブラーだったようで、常習するほど上手くなかっただろうが海外カジノを思いつくとは機転が利く。カジノで何をやったのかはわからないが海外送金代行会社を通してカジノのコインに替えたのだろうが、残っていないのだろうか。ゼロ円の可能性もあるが、普通に考えればコインに替えた段階で、「そのままにするか」、「一応賭場で洗浄しておく」、「別アカウントの自分に全部負けておく」といったことをするだろう。

6. 決済代行会社の返金。
 92.9%の4299万円が三社の決済代行会社から町に返還になった。容疑者のカネなのかどうかも不明。もしそうだとしても他人のおカネを無断で返すのだろうか。「警察に調べられるぐらいなら『はした金』」ということだろうか。そもそも町は金を取り戻すことの方が重要事項で、容疑者がどうなろうと二の次だろう。ただ、振り込まれたおカネが4630万円の一部であることを決済代行会社から書面で確認を取っておかないと、後に、決済代行会社からの「誤入金」と言われ、逆に返さなければならなくなる。たとえば中国企業との取引では、輸出代金を中国ではなく日本にある(隠し金?)別会社から振り込もうとしたりするので、うかつに入金するわけにはいかない。

7. 拾得物のように「返金謝礼制度」を作ったらいいのではないか。
 拾得物については、7日以内に警察に届けて、3か月以内に持ち主が現れたら拾得物報労金として5%から20%の謝礼を行うことになっている(明治時代からの法律)。似たようなものなのだから少なくても5%、あるいは上限100万円程度を支払うことにしておけば、本件の容疑者も危険な橋をわたらなかったのではないだろうか。