アーロン収容所(会田雄次著)

2014-07-03 00:00:25 | 書評
aida戦後日本の保守派の論客だった会田雄次氏の最初の著。というか、ビルマで一等兵として従軍中に終戦となり、「非武装解除軍人」、つまり終戦によって「捕虜」になり、英国軍に収容所に入れられていた時のことを、あれこれ恨みたっぷりに描いた記録である。

「非武装」といっても、実際に残っていた火器と銃弾では、数分しか戦えなかったのだから、終戦にならなければ、必ず全滅していただろうということだそうだ。

捕虜の記録といえば、シベリア抑留の悲劇については、色々あるし、米国捕虜の記録もあるが、英国捕虜の記録は珍しいのだろう。会田氏によれば、英国捕虜も悲惨だったということらしいが、本当のところはよくわからない。比べることができない。

ただ、英国人は階級社会を収容所に持ち込み、インド人やグルカ兵を利用して、植民地経営的に日本人をいじめていたそうだ。奴隷の奴隷。ただ、ソ連や米国と違って英国人は思想教育は行わなかったそうである。たんに労働力として利用しただけ。日本に帰れずに英国へ連れていかれて奴隷にされるのではないかと、心配していたそうだ。

思えば、日本でも多くの兵隊は、戦況が悪化してからかき集められて、武器も食糧も十分にない中で、海外に送られ、死ぬか捕虜になったわけだ。

本書を読む限りは、会田氏が保守系論者になった原因は、わからない。「英国人はなんて汚い人間ばかりなんだ」と思うだけである。そして、色々と人間の生き方について、いいことを書いてあるような気がする。人間ができていないので、多くを理解することはできないのだが。