犬とハモニカ(江國香織著)

2012-11-20 00:00:24 | 書評
inutoha第38回川端康成文学賞受賞作。著者の作品を多く読んでいるわけではなく、2冊目か3冊目かもしれない。「冷静と情熱のあいだ」とか。

登場人物が少なく、その人間同士の間の様々な感情が移りゆくさまを描くのがとても上手なのだ。そのために、自分が読んで感じている部分のほかに、もっと複雑な構造が存在するのだろうなあとは思うのだけど、そう簡単には深くは読み切れない。もっとも川端康成賞にふさわしいと思うのは、元祖川端康成も、『雪国』とか『古都』とか、かなり心理ゲームのところは難しく、とても読み切ることはできない。

というところで、もっと20年ほど先に読み直すと巧く表現できるのかもしれない。

そして、ふと思うのだが、今年だいぶはまってしまった『和泉式部日記』も、同じ系列のルーツなのだろう、と一人で納得しているのだ。