この夏、日本公開される映画「96時間」を先行試写会で観る。全米チャート初登場1位、9週連続トップ10、1億4000万ドルの興業収入ということらしい。(1億4000万ドル=140億円、入場料1400円とすると、100万人が観たことになるが???)
なぜか、マスコミ関係者用の試写会のあまった券が「livedoor」に回ってきたようだ。受付をそれらしく突破して着席すると、意外にも映画評論家というのは高齢者が多いことがわかる。古今東西の映画を観てないと、もっともらしい評論が書けないのだろうか。
そして、試写会の話なんか、うっかり書くとネタバレものなので、責任逃れの一環で、gooの映画評から「あらすじ」を借用。
ということである。
細かな話をすれば、この元工作員は離婚していて、妻は娘と一緒に大富豪に輿入り。金持ちの令嬢らしく欧州豪遊旅行に行く途中で、さらわれる。さらに、誘拐団が自由自在にパリで暗躍しているのは、パリ警察の幹部に賄賂を渡しているからなのだが、そういうよくある平凡な筋立ては、この映画を「暴力」「破壊活動」に特化することに役立っている。
上映時間は1時間33分と短いのだが、主人公のブライアン(リーアム・ニーソン)が果てしなく大暴れするので、次々に死体の山ができる。たぶん30人ほどだ。元の知己である警察幹部だけでなく、何も知らないその妻まで撃つ(死なないが)のはいただけない。
高速道路逆走や、赤信号無視は危険運転致死傷罪だ。人身売買は重罪だが、隠れ家の見張りまで全滅である。
さらに、パリは犯罪者の巣窟のように描かれ、アルバニア人はすべて誘拐団の一員と決め付けられる。
秘密パーティには、一人だけノータイで偽警官のライセンスで潜入。娘の残した数少ない証拠を追いながら、次々に場所を変えて大暴れする。あるアジトでは、一人を除き全滅させ、その一人を椅子に縛りつけ、電気ショックの拷問にかける。すべてを自白させたあと、拷問をやめるのではなく、電気を流しっぱなしにして、部屋を出てしまう。
鑑賞上の注意だが、真剣にスクリーンに見入っていると、クルマ酔いしたり船酔いしたりする。
本作をスリラーというには、いささか疑問を感じるのは、「謎解き」というような知的な部分が見当たらないことである。
あえて、「最も謎めいていること」といえば、主人公ブライアン(リーアム・ニーソン)が、「強すぎる」ことだ。
マシンガンで撃たれても弾は当たらず、10人連続で敵を殴り倒しても、手が赤くなることもない。セーヌ川のボートでの最終決戦の結果でも、ジャケットの肩に2センチほどのほころびができるだけである。要するに着替えないスーパーマンである。しかも、1952年生まれということだから、今年57歳である。
今後、最大の興味は、各映画評論家が、この映画に、いかに魅力的な言葉で、デコレーションを加えるのか、ということかもしれない。
ところで、リーアム・ニーソンは、パリの街で、被害総額数千億円規模の破壊活動を行うのだが、言うにこと欠き、「娘を助けるためには、エッフェル塔でも倒してみせる」と豪語するのである。
築後120年のエッフェル塔は、元々、万博を記念した、パリを代表する鉄塔である。一方、東京には東京タワーがある。こちらは、築後51年だが、早くも新東京タワーによって、役立たずの鉄屑となりそうである。これが日本。これが東京なのだろう。維持費も払えなくなった鉄塔は、それ自身が危険物体である。こんなことなら木造で作った方が、簡単に壊せたはずだが、後の祭りである。塔の解体は、やっかいな作業になるだろう。
彼の娘を東京でさらってみたら、「東京タワーでも倒してみせる」と、請負仕事をしてくれるかもしれない。
なぜか、マスコミ関係者用の試写会のあまった券が「livedoor」に回ってきたようだ。受付をそれらしく突破して着席すると、意外にも映画評論家というのは高齢者が多いことがわかる。古今東西の映画を観てないと、もっともらしい評論が書けないのだろうか。
そして、試写会の話なんか、うっかり書くとネタバレものなので、責任逃れの一環で、gooの映画評から「あらすじ」を借用。
17歳のアメリカ人少女キムが、海外旅行先のパリで誘拐された。偶然にもその時キムと携帯電話で話していた父親ブライアン。しかし受話器の向こうからキムの悲痛な絶叫が聞こえたとき、すでにブライアンは何をすべきかわかっていた。
地獄の果てまでも犯人を追いつめ、自らの手でキムを必ず奪還してみせる!政府の元工作員として幾多の修羅場を潜り抜けてきた彼は、あらゆる危機に対処しうる“特殊なスキル”を備えていた。キムとの通話の音声から、犯人一味はアルバニア系の人身売買組織と判明。過去の事例から、事件発生後96時間が過ぎると被害者は救出不可能という絶望的なデータがはじき出された。単身ロサンゼルスを飛行機で発ったブライアンは、わずかな手がかりをたどってパリのアンダーグラウンドに身を投じていく。
『シンドラーのリスト』の名優リーアム・ニーソンが、多彩な特殊技能を体得した元秘密工作員に扮するアクション・スリラー。邪魔者どもを容赦なく蹴散らす怒涛のカーチェイス、銃撃戦、マーシャルアーツを連発。さらには主人公の沸々と煮えたぎる怒りと執念が、ノンストップ&ハイスピードの展開を極限まで加速させていく。製作はリュック・ベッソン。(作品資料より)
ということである。
細かな話をすれば、この元工作員は離婚していて、妻は娘と一緒に大富豪に輿入り。金持ちの令嬢らしく欧州豪遊旅行に行く途中で、さらわれる。さらに、誘拐団が自由自在にパリで暗躍しているのは、パリ警察の幹部に賄賂を渡しているからなのだが、そういうよくある平凡な筋立ては、この映画を「暴力」「破壊活動」に特化することに役立っている。
上映時間は1時間33分と短いのだが、主人公のブライアン(リーアム・ニーソン)が果てしなく大暴れするので、次々に死体の山ができる。たぶん30人ほどだ。元の知己である警察幹部だけでなく、何も知らないその妻まで撃つ(死なないが)のはいただけない。
高速道路逆走や、赤信号無視は危険運転致死傷罪だ。人身売買は重罪だが、隠れ家の見張りまで全滅である。
さらに、パリは犯罪者の巣窟のように描かれ、アルバニア人はすべて誘拐団の一員と決め付けられる。
秘密パーティには、一人だけノータイで偽警官のライセンスで潜入。娘の残した数少ない証拠を追いながら、次々に場所を変えて大暴れする。あるアジトでは、一人を除き全滅させ、その一人を椅子に縛りつけ、電気ショックの拷問にかける。すべてを自白させたあと、拷問をやめるのではなく、電気を流しっぱなしにして、部屋を出てしまう。
鑑賞上の注意だが、真剣にスクリーンに見入っていると、クルマ酔いしたり船酔いしたりする。
本作をスリラーというには、いささか疑問を感じるのは、「謎解き」というような知的な部分が見当たらないことである。
あえて、「最も謎めいていること」といえば、主人公ブライアン(リーアム・ニーソン)が、「強すぎる」ことだ。
マシンガンで撃たれても弾は当たらず、10人連続で敵を殴り倒しても、手が赤くなることもない。セーヌ川のボートでの最終決戦の結果でも、ジャケットの肩に2センチほどのほころびができるだけである。要するに着替えないスーパーマンである。しかも、1952年生まれということだから、今年57歳である。
今後、最大の興味は、各映画評論家が、この映画に、いかに魅力的な言葉で、デコレーションを加えるのか、ということかもしれない。
ところで、リーアム・ニーソンは、パリの街で、被害総額数千億円規模の破壊活動を行うのだが、言うにこと欠き、「娘を助けるためには、エッフェル塔でも倒してみせる」と豪語するのである。
築後120年のエッフェル塔は、元々、万博を記念した、パリを代表する鉄塔である。一方、東京には東京タワーがある。こちらは、築後51年だが、早くも新東京タワーによって、役立たずの鉄屑となりそうである。これが日本。これが東京なのだろう。維持費も払えなくなった鉄塔は、それ自身が危険物体である。こんなことなら木造で作った方が、簡単に壊せたはずだが、後の祭りである。塔の解体は、やっかいな作業になるだろう。
彼の娘を東京でさらってみたら、「東京タワーでも倒してみせる」と、請負仕事をしてくれるかもしれない。