選挙運動を見ていると・・

2005-08-30 16:19:00 | 市民A
選挙が近づいてきたが、どうも個人的には盛り上がらない。なぜなら、実際に投票するとなるとなかなかぴったりとした候補者がいないからだ。そのあたりを考えてみる。

まず、自分の選挙区だが、横浜のある大規模ニュータウンを中心としたエリアである。やや民主党が強いところだが、それほど差はない。だいたい都市部ではどちらの政党に属する候補者も同じようなことを言っている。そして、人口が多く投票率が高い選挙区で、自民・民主の両党が票を二分するため、小選挙区で落選しても比例区で復活することになる。つまり、選挙のたびに、自民と民主が小選挙区と比例区の席を交換している。普通、日本式コスタリカ方式は同一政党内での出馬調整が目的だったのだが、なんと二党間のコスタリカ方式になっている。(念のため、書き添えると、コスタリカではこんなことはやっていない。汚職防止のため、議員の再選が禁止されているため、1回おきに立候補することを言う。日本に導入したのは、ほとんどの人が名前を忘れてしまった、前首相だ。)

そして、自民党の候補者A氏は、実は大地主なのだが、それを隠して「改革派」を打ち出している。そして民主党のB氏は、実は大学教授で、社会主義者なのだが、それを隠してこちらも「改革が中途半端」と主張している。

土曜日に近くのショッピングモール前の広場で民主党のB氏が、演説していたが、まったく聴衆はいなかった。そして帰り際に元の場所を通ると、こんどは自民党のA氏が演説していたがこちらも聴衆はいない。しかしA氏は妙な小道具を使っていた。「郵政民営化アンケートボード」だ。賛成と反対と、バラの花の数が違う。95:5くらいに見える。誰がバラの花を刺したのかな??まあ、都会では郵政は争点にならない。どうせ自由化されれば、嫌というほど郵便局が乱発されることは目に見えている。


さて、出遅れ感がある民主党は「岡田党首」がやってくるのだが、隣区の候補者はそのポスターをこちらの小選挙区に掲示している。これじゃダメでしょ。出雲市長のときは大雑把で良かったかもしれないが・・?ということだ。そして、自民党は、「小泉首相」がやってくるそうだ。神奈川県の自民党には、首相と衆議院議長が所属しているため、応援演説は便利だ。改革路線でもハト派路線でもチョイスできる。

そして、こちらの小選挙区の民主党候補は「郵政問題」を「中途半端な改革案で、道路公団の顛末と同じ」と批判している。つまりもっと過激に改革しろ!ということだ(そんなこと言っていいのかな、と心配になるが、落選したら休職中の大学に戻るのだからいいのか・・)。野田聖子と同じ主張だ。そして、隣の選挙区なのに、こちらの選挙区民の利用する駅前で演説している島根県出雲出身の民主党前議員は、「郵政民営化」は「アメリカ従属の政策」と完全に保護主義的だ。(もちろん、アメリカの郵便局は民営ではないのだが、と付け加えている。)

つまり、民主党は「郵政民営化だけが、争点ではない」といっておきながら、こちらの選挙区では郵政問題ばかりを”中央からの指令系統無し”で、素手で論争している。この分では、選挙後の党内抗争は避けようもないだろうとしか考えられない。


このあたりで、私見としての「郵政民営化」だが、もちろん賛成でしかない。郵便事業の方からいうと、アメリカほど広い国ではないので、国営でやってる必要はないだろうし、それほど地域格差があるとも思えないし、チェーンサービスというのはヤマトの宅急便でもマクドナルドの価格だって全国同一ではないか。それに今や郵便制度は読み切れないDMの配達システムになっているだけではないのだろうか。米国が積極的賛成していないのは、ドイツポストのように、民営化して巨大企業になり、フェデックスやUPSのライバルになると困るからなのだ。

金融部門は、もはや市中銀行ですら、融資先が見つからず国債の購入に追い込まれている状態では、すぐに効果は出ないとは思うが、民営化しておけば、少なくとも戦前のように郵便貯金のほとんどが戦時国債にすりかえられ、国民の総資産が戦場で消えてしまうような「おおぼけ政策」がとられることは防げるのだろうと思う。


さて、また政党の話に戻るが、現在の自民・民主という枠組みは、おおむね政策的(政治的)保守、革新という二元論になっている(例外はいるが)。しかし、現実的には日本をとりまく諸課題は、国内事情とは関係なく次々と発生していて、誰が政権をとっても大きく舵を切るわけにもいかない。そうなると、内政問題になるのだが、超経済大国であるから、そのほとんどの政策は経済的な考え方によるわけだ。ミクロかマクロか、厚生経済か成長優先か、多国籍化か純血主義かとかとか。つまり経済政策が保守か革新か?という分類になるわけだ。

そして、現在の政治的保守/革新と経済的保守/革新を組み合わせると、2×2=4ということになる。
政治的保守&経済的保守=亀井静香
政治的保守&経済的革新=小泉純一郎
政治的革新&経済的保守=菅直人
政治的革新&経済的革新=小沢一郎
実際は、それぞれ中道という選択もあるのだが、そうなると3×3=9の政党が必要となるので政治的には不安定になる。
さらに、こういう問題から超越した政党があり、キャスティングボードを持っていたりするのだが、現状勢力が精一杯であるのだろう。

そういう意味だと、有権者としては、選択肢が4択であれば、もっと素直に投票所に足が向かうのではないのだろうか。もっとも小選挙区制度のまま、多党化すれば、いわゆる「死に票」が増加してしまうのが難点なのではあるのだが・・

ただし、自民党が分割を始めるまでには長い日数が必要であったのであるから、民主党が分裂するにもまだ時間が必要なのかもしれないとも思うし、「政権」に就いていなければ、案外、すぐに分裂するのかもしれないとも思える。ただ、民主党内では、こういった問題はまだ煮詰まっていないし、このまま分裂すると、またも空中爆発になりかねないような可能性もうかがわれるのである。