震災時、歩いて帰る帰宅支援マップ

2005-08-25 22:36:14 | 書評
c99dce76.jpg最近のベストセラーである。630円。目的は、題名のとおり。何らかの都市災害があったときに東京在勤者は、とりあえず都内の避難所に向かうか、郊外の自宅に歩いて帰るかの選択を迫られるわけだ。もちろん、大地震の最初の一撃で、事務所内を飛んできた重さ200キロの耐火金庫に頭を打ち付けたり、仕事をサボって遊んでいたパチンコ屋で感電したりしたら、地図はいらない。そして、各会社の経理部長は会社の金庫番として、金庫と運命を共にしなければいけないので、本書は不要だ。(私は、緊急時食料調達係りの大命を持っているので、会社の金庫から札束を掴んで、となりのローソンに走ることにしている。運がいいと領収書ももらうことにしているのだが。)

添付の1枚の基本脱出ルート図でわかるように、実はこの地図自体はそれほど凄いわけではない。まず、裏道は避けよと言う。ようするに危険というわけだ。都内から放射線状に伸びる幹線道路を歩けということだ。そして、自宅近くまでいけば後は何とかなる。その主要道路ごとに、別のページで詳細が記載される。ベンチや公衆トイレなどの情報だ。

実は、私は横浜北部の港北ニュータウンに住んでいる(地図の青丸エリア)。普段乗っている田園都市線は、国道246号線とほぼ同じコースなので、これを基本ルートと考えていた。三宅坂の社民党本部から渋谷までは青山通りとも言う道だ。多くの人は、この段階で、何だ、ということで地図を読まないだろう。しかし、私は、もともと、この246を「逃げ道」にするのには、若干の危惧を感じていたのだ。そのあたりがさらに解ってきた。そして、南ルートとして中原街道というのが浮上してきたのである。

まず、246コースの問題点の1は、特に世田谷区では道路の両側に中層ビルが立ち並んでいることだ。さらに道路の上には、蓋のように東名高速が乗っかっているわけだ。火災発生時には、果たして地上に酸素が残るのだろうか?東京大空襲の時も、川の中にもぐっていてもなくなった人の多くは周辺部での火災のために酸欠になったからと言われる。

そして、問題点の2は、もっと複雑なのだ。つまり、何気なくみているこの地図上では、逃げ道のない場所がある。赤丸で記載した場所である。多摩ニュータウンである。人口は20万人。ようするに京王線や小田急線方面の住人は、電車はあっても道路がないわけだ。となれば、彼らはどこを歩くかといえば、南側にあたる、246を中心に考えているのだろう。つまり、246は大混雑になると予想される。

そう考えると、ちょっとマイナーだが、中原街道という選択になる。こちらも大田区が火災になると、苦しいが、道路の幅が広いので246より酸素状況はいいかもしれない。ただ、実は246は単純にまっすぐな道なのだが、中原街道はあちこちに岐路がある。また直角に曲がる場所も数箇所ある。いざと言うときに90度間違えると本当に最悪になる。文字通り、事前調査が必要ということになる。

そして、やはり多摩川という大問題がある。どこかでこの幅広の川を横断しなければならないのだが、水量は日によってまったく違う。橋が通れれば問題はないのだが、最悪の備えとしては、浮き輪を用意しておくべきかとも思っているのだ。ポータブルライフジャケット。

ところで、自分のことから離れて、地図を見ていると、千葉ニュータウンの人には逃げ道が用意されていないことがわかる。おそらく、水戸街道で松戸に入り、そこから松戸街道で千葉県内陸部に向かうというのが最短コースだが、その道が指定・推奨をされていないのには、何か理由があるのだろう。

さらに、東京から半径50キロを環状にとりまく国道16号線より外側の人は、簡単に都内から放浪するわけにはいかないのだろう。


さて、実は最も重要なのは、下見ということはわかっていて、246と並行する田園都市線を、時に1駅間ずつ歩いて、定期券だけで「逃げ道下見ブログ」にでも仕立てようかと思っていたのだが、中原街道ルートだと、下見もえらいことになる。電車は複雑に横切ったり、斜行したりと気ままなので、下見ツアーは大変な時間と労力と電車代が必要だ。ということに気が付いたとこまでなので、今後、どうなることやら・・

ボトルラインの話

2005-08-25 22:34:46 | マーケティング
ec18ebc5.jpgボトムラインではない。それでは私の生活水準の話になってしまう。「ボトルライン」の話だ。聞いたことがない単語だろうが、それもそのはずで、2分前に考え付いたことばだ。

少し前に、時々行っていたバーがある。赤坂。主にカウンター方式で、中に入っているマスター(経営者)とか、雇いの女性と雑談可能で、簡単なツマミ(といってもカワキモノではない)もでてくる。普通は2~3人で行き、2時間ほどの無駄な時間(有益な時間ともいう)を過ごしたあと、三々五々に帰っていく。ウィスキーのボトルをキープしておく。一杯ずつ頼んでもいいが、面倒の極みだし、早い話が高くなる。ボトルキープすると、普通は追加コストはほぼなく、3回に一回位は5,000円位支払いは高くなる。(経営学的に言うと、割高な変動費か、割安の固定費かの選択)。

店舗形態は、いたって、あいまいで中途半端な経営であるといえばそれまでだが、各テーブルに女性がやってくる銀座方式でもなければ、古典的なBAR方式でもない。そして、最大のポイントは経営者が元銀行員であることだ。聞けば、元の店がつぶれて担保で押さえたものの、売却するにできず(随分焦がしたのだろう)困っていたのを、ちょうど早期退職でやめる行員が経営を引き受けたということ。まあ、この種の経営は、なかなか帳簿のタテヨコが合わないだろうが、そういう意味だと、銀行員はお似合いかもしれない。そして、客単価はほぼ5,000円くらい。要するに、そのクラスの店ということ。

しばらく足を運んでいたのは、こういうあいまいな店は、「二軒目にちょっと寄って」に便利というのであったのだが・・・

ところが、ある時、ふと気が付いたのだが、いきなりテーブルに置かれるボトルの中のウィスキーの残量が少し減っているのではないだろうか?と疑いがよぎる。まさか、銀行員が?いや元銀行員だからこそか?とか色々な疑問が頭の中をカラー渦巻きで回る。そして、思いついた検証方法は、帰り際に、液面のラインに合わせ、ラベルに小さな目印の線を書き入れる。そして次回に確認したのだが、驚くことに約7ミリほど減っている。私の知人が来て勝手に飲んだとは思えないし、新たなボトルを入れ直したとするとこのラインそのものも消滅しているはず。自然蒸発か?ありえない。そして、二度三度にわたり、不自然な蒸発が確認された段階で、人為的行為として確信したわけだ。

ボトルキープシステムでは、すでに顧客が代金を払っているのだから、店舗側は顧客の商品を保管しているということであるのだから、保管料のつもりなのだろうか。逆日歩か?。おそらく、スポット客がシングルの水割りでも注文した時のため、少しずつ掠めているのだろう。

当然ながら、その後、ボトルを空にした後、「しばらく来なくなるから、次のボトルは入れないでいいから」と自然なお別れをしてしまった。例は悪いが、付き合っている異性がちょくちょく自分の財布から1,000円札を失敬するような話だ。

ところで、この話を、もう少しだけ高級(予算8,000円/人)店のチーママに意見を求めたところ、意外な答えだったのだ。「逆」、というのだ。基本的にボトルキープシステムであると、何らかの理由で期限切れとなるものが出る。そして、保管場所に余裕がある間はとっておけるが、それにも限界はあるし、1年近くたてば、所有権放棄とみなしてもいいし、もとより会社のカネをつかって交際費にしている人たちの場合、サイフの痛みを感じないわけだ。その結果、処分すべきウィスキーが溜まるとどうするかというと、キープしている現在の顧客の液量に足してしまうということだそうだ(品質劣化はないから)。

つまり、もともと顧客毎に来店パターンがあって、1本のボトルを小刻みに使う人とか、無造作に使う人とかいろいろなのだが、ボトルが最後の1センチとかなると、次に来なくなったりするそうなのである。つまり、次にくると残り1センチまで減りそうなボトルには、あらかじめ注ぎ足しておくそうなのだ。酒屋ではないのだから利益の源泉は、ボトル販売個数にあるわけではなく、累計顧客数にあるというわけだ。奥は深い。元銀行員敗れたり!(かな?)