2009年01月19日の山梨日日新聞が「地デジ対応 8割未定 県内の難視聴地域 施設改修費がネック」と記事にしています。これについては、既に書いたように「地デジ移行後もCATVはアナログ併存」、すなわち『政府は、ケーブルテレビ(CATV)利用世帯を対象に、2011年7月の地上デジタル放送(地デジ)完全移行後も、アナログ放送を受信できるようにする措置を取る。景気悪化の影響で地デジ対応機器の普及が遅れているためで、移行後3~5年間の時限措置とする方針だ。』以下の記事は山梨日日新聞から(下線は引用者)
山梨県企画部情報政策課によると、調査はアンケート形式で昨年8月時点で行い、258施設が回答した。回答率は97・0%。
難視聴地域の集落でアンテナなど受信機器を共同設置している施設のうち、「未定」と回答したのは203カ所。一方、既に機器を更新し、デジタル化に対応しているのは13カ所で、10年度までにデジタル化する予定施設を含めても31カ所にとどまった。
デジタル化対応が進まない理由について、共同受信施設の利用者側は(1)改修費用が高額(2)中継局の未整備で受信点が確保できない-などと回答。同課によると、デジタル化に伴い機器を更新すれば300万-100万円、アンテナの設置場所も変更すると900万-400万円の費用が必要になるとみられる。
国は改修費用の半分を補助する制度を設けていて、NHKも費用の一部を助成しているが、利用世帯が少ない共聴施設ほど一世帯当たりの自己負担額が大きい。県内の共聴施設のうち、4割近くは30世帯未満の小規模集落で運営していて、高額な費用がデジタル化のネックになっている。
県内世帯の8割が加入するCATV事業者のうち、同業者らでつくる連絡協議会加盟の16社は既に対応済み。残る2社も期限内には移行する見通しで、完全移行には共同受信施設のデジタル化が課題となっている。総務省やNHK、民間放送事業者でつくる地上デジタル推進全国会議は難視聴地域の共同受信施設約2万カ所について、10年3月までに64%で改修を完了する目標を掲げている。
地デジ移行の経費は「自己責任」ではないはずだと私は思っています。テレビを見るかどうかは個人の判断ですから受信機は自分で買えばよい(私は地デジ対応テレビは買わずにパソコンで見られる周辺機器とソフトを整備する予定)。再配分される電波利権の有効活用で利益を得る人々が負担すべき問題と考えてもよいでしょう。とりあえず行政機関が全額提供しておいて後日地デジ移行が完成した後で業界から戻して貰えばよいかも知れません--制度的な方法は私にはわかりませんが。
山梨県も焦らず政府が計画する30億円支援の具体的施策を待ち、それを県民に公開しながら3~5年かけて進めていけばよいと思います。2011年7月でアナログ電波の送信は停まるのですが、難視聴地域のアンテナや機器を変更するとか各世帯のテレビを買い替えるとかするより、さしあたり山梨県情報ハイウェイにCATVアナログも流す方法で難視聴地域203カ所に配信することを計画すればOKかと思いますが・・・これも具体的に可能かどうかは私は知りませんが(^_^;) これも考慮した山梨県情報ハイウェイの構築だったのではないかと思うのですが・・・
CATV以外ではブロードバンドが使えないという環境も放置はできないはずです。インターネットが無い時代と異なり、今のテレビは個人の趣味趣向の範疇にあり政治が責任を持つ情報インフラと位置づけてしまうと問題があるのではないでしょうか。情報インフラは有線固定電話か無線携帯電話のどちらかが使えることは必要です。そのどちらかでブロードバンド-インターネットが使えるというのが政治の責任でしょう。議会中継も行政情報発信・受信もインターネット回線でやれるのですから。NHKが「公共放送」ならインターネット回線にテレビ送信するのは彼等の自己責任です。そういうインターネットも利用するのは個人の判断です、電話を持たない人もいるしマイカーは持たない人もいますが情報インフラも交通インフラもロビンソン・クルーソーじゃない限り「生存に必要なインフラ」と私は思っています。
「地デジ移行後もCATVはアナログ併存」の記事の最後で「CATV会社約330社で30億円の追加投資で済むのでしょうか? デジアナ併用器材設備に1千万円/社程度なのでしょうか?」と書いたことには上の記事から回答が見つかりました。1000万円/社でOKらしい、『デジタル化に伴い機器を更新すれば300万-100万円、アンテナの設置場所も変更すると900万-400万円の費用が必要になる』でした。
検索していてこんな記事に気が付きました。『私たちマスコミにも責任はあるが、後期高齢者医療制度と同じく、停波が決まった01年当時はその重みをあまり論議しなかった。残り3年を切った08年9月時点で対応テレビの世帯普及率は5割弱。政府は約100万の生活保護世帯にはチューナーを無償配布する方針だが、なお数百万世帯が残る恐れがある。多くは高齢者らの生活弱者だ。 労働者派遣が原則自由化された99年の法改正が今、大量の失業者を出しているように、同じく経済原理で進められた地デジ化は多くの「テレビ棄民」を生みかねない。それでも、停波は動かせないのか--。正月のこたつでテレビを楽しむ、老いた母の背を見ながら思う。』(毎日新聞 2009年1月4日) 上意下達のような記事ばかり掲載して後から反省している既存メディアよりも、インターネット記事を丹念に調べていく事で見えてくるものが多い今日この頃です(^o^)