甲府市中心街、閉店したパセオの並び、オリオン通りに「みちくさ」というコーヒー店があります。現在形で「あります」と書けるのは、このお店は紅梅地区再開発に関係なく継続する事がわかったからです。
中心商店街から甲府駅方向に抜ける時に私はオリオン通りを使うことが多く、この名高い「みちくさ」をいつも横目に見ていました。実はその少し手前にあるドトールに寄る事が多かった(各地にあるこのチェーン店に馴染んでいた)ので、「みちくさ」に入ることは無かったのです。
この一角が再開発でドトールも閉店しているはず、その様子を見たいとオリオン通りに出かけて「みちくさ」が開店しているのに気が付き、初めて入りました。
紙コップで出されるコーヒーは味気ない、ファミレスの白いカップや自宅で使うマグカップはまあまあですが、「みちくさ」の器は素敵でした。店内は昔ながらの喫茶店の雰囲気です。黒を基調とした落ち着いた雰囲気があります。伺うと創業60年とのこと。昭和の戦後間もなくここで開店し、当時は砂糖が無くてサッカリンだった、この辺りに裁判所の宿舎があったという話など。日本におけるコーヒーの歴史は知りませんが、私の生活にコーヒーが入ってきたのは学生時代に喫茶店に足しげく出入りするようになってからだったように思います。コーヒーは大人の証しみたいなものでした。
甲府で戦後間もなくコーヒーを供する喫茶店が開店した、その事に甲府の文化的な水準の高さを感じました。
入口のレジの所にピンク電話がある、これは久しぶりに目にしてデジカメに納めました、今やこういう電話器が歴史文化遺産になりそうな時代じゃないですか・・・
「みちくさ」が残っているのはパセオのビルとは別な4階の建物で、これは取り壊さないことになったのだそうです。複数のお店が入居している事情があったそうですが、新しくなる再開発ビルの根元にぽつんと残るのでしょうかとお尋ねしたら、再開発ビルは3階までの平面部分の真ん中にタワーが建つという構造だそうで、この古いビルと並んでいても違和感が無さそうな構造になるようです。
先日東京に出かけた時に築地の川向こう、「かちどき」に行ってみました。懐かしい街の様子が随分変わっていたのですが、そこで見た衝撃的な光景を撮っておきました。
隣の月島地区が新旧の街が共存して老若男女が行き交うスッキリした街になっていただけに、街づくりの難しさを感じさせたものです。
舞鶴城天守台から甲府盆地を眺望した時に紅梅地区再開発ビルはどのように見えるものになるでしょうか。
長年にわたり多額の経費をかけて甲府城址を整備してきた努力の意味が分からなくならないように祈りたいです。法律だけでまちづくりができるものではないと思っています。
尚、甲府城(舞鶴城公園)関連の案内ページには特に記述が無さそうですが、真ん中にそびえ建つ尖塔は「謝恩碑」と呼ばれる恩賜林を記念するもので、私には城址にそぐわない違和感がありました、今では見慣れてしまったので、高層マンションもそんなものかも知れません、目で見る時は無意識に除外しているのですが写真に撮って愕然とする。