樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

鳥の糞は宝の山

2019年09月19日 | 野鳥
尾籠な話で申し訳ないですが、鳥は人間など哺乳類と違って、糞と尿を一緒に排泄します。重い水分を体内に貯めておくと飛翔の障害になるので膀胱がなく、総排泄口という器官で消化残留物と尿が混じって体外に出る仕組みです。
下はムクドリの糞。白い部分が尿、中央の黒い部分が糞です。



鳥の糞には、窒素、アンモニア、尿酸、リン酸などが含まれているので良質な肥料になります。また、鳥の糞から得られる硝酸は火薬の原料になります。つまり、鳥の糞は貴重な資源なのです。
その糞の争奪が原因で、1865年にはスペインとチリ、ペルーの間で戦争が起こっています。またアメリカは、鳥の糞におおわれた太平洋の無人島をアメリカ人が発見した場合は領有できるという勝手な法律を制定し、ミッドウェイなど50以上の島々を自国のものにしました。
太平洋にナウル共和国という小さな島国があります。この島には膨大な量のアホウドリの糞が堆積しており、それを輸出して莫大な収益を得たため、1980年代の国民一人あたりのGNPは2万ドルもありました。中東の産油国よりも高く、日本の約2倍。


上空から見たナウル共和国

その利益は国民に還元され、税金がない上に医療費や光熱費、教育費も無料。多くの国民は働く必要がなく、「世界一裕福な国」と呼ばれました。ところが、大量に採掘されたため、近い将来枯渇することが判明。政府はその対策に追われていますが、長年働かずに裕福な生活を送った国民の意識は簡単に変わらないため、窮地に陥っています。
その経緯をまとめた『アホウドリの糞でできた国 ナウル共和国物語』という本も出版されています。



ちなみに、日本近海に「鳥島」と名付けられた無人島がいくつかありますが、これらも鳥の糞でできた島のようです。
コメント (2)
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