樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

糞から生まれた枝

2016年12月22日 | 木と文化
ヨーロッパではクリスマスの頃に、ヤドリギの枝を赤いリボンで結んだものを廊下や天上に吊り下げ、そこで出会った女性にはキスをしてもいいという風習があるそうです。東京ディズニーランドでもカップル向けの装飾に導入されているとか。
クリスマスソングにもヤドリギ(mistletoe)がよく登場します。例えば、マライヤ・キャリーの「恋人たちのクリスマス」は以下のとおり。
I won't ask for much this Christmas(今年のクリスマスは高いものをねだったりしないわ)
I won't even wish for snow(雪だって降らなくていい)
I'm just gonna keep on waiting(私はずっと待ち続けるわ)
Underneath the mistletoe(ヤドリギの下で)

さらに、いつも当ブログにコメントをくださるguitarbirdさんは、ヤドリギが登場するクリスマスソングを6曲も紹介されています。ヤドリギは欧米ではクリスマスの恋人たちには欠かせないアイテムになっているわけです。
日本人はそういうロマンチックなイメージは持っていないでしょう。特にバードウオッチャーは、「ヤドリギの実はレンジャクが大好きで、食べた後、粘っこい糞をする」というロマンチックとは言えない知識を持っています。


真ん中に白く垂れているのがヒレンジャクの糞

実は、ヤドリギの英名mistletoeもロマンチックではないようで、語源を調べると「糞」を意味するmistelと、「枝」を意味するtanが結合して生まれた単語で、mistletoeは「糞から生まれた枝」という意味。
多分、アングロサクソン民族はヤドリギとレンジャクの生態を知っていて、「糞から生まれた枝」と名付けたのでしょう。
クリスマスの風習のロマンチズムと、語源のリアリズム…。ギャップがありますね~。
コメント (2)
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