日本の元号に一つだけ野鳥が登場します。大化の改新(646年)の後、650年~654年まで使われた「白雉(はくち)」。
ある解説によると、現在の山口県の国司から白いキジが献上されたため、これを瑞祥として改元したとのこと。その話を読んだときは、キジの白化個体が献上されたと解釈していました。
ところが、先日『魏志倭人伝』の中に「この国には黒いキジがいる」という記述があることを知って、その解釈は間違いではないかと思い始めました。
下の画像は『魏志倭人伝』の現物ですが、右ページに「その地(日本)には、牛も馬も虎も豹も羊も鵲(カササギ)もいない」と書いてあります。カササギは秀吉の朝鮮出兵までは日本にはいなかったので、こういう記述になるわけです。そして、左には「黒い雉がいる」と書いてあります。
画像はパブリック・ドメイン
日本の鳥に関する最古の記述はキジということになりますが、日本のキジを「黒い」と感じるのは、中国大陸のキジ(コウライキジ)と比べてのことでしょう。コウライキジを見慣れている中国人が日本のキジを見て「黒い」と感じるのは不思議ではありません。
図鑑『フィールドガイド日本の野鳥』のキジ(上)とコウライキジ(下)
逆に言えば、日本のキジを見慣れている日本人にはコウライキジが白く見えるはずです。つまり、「白雉」という元号は白化個体ではなくコウライキジに由来するのではないか、というのが私の推測。
朝鮮半島から対馬あたりにコウライキジが移入され、それが今の山口県の国司に渡り、さらに朝廷に献上されたのではないでしょうか。
ちなみに、「白雉」の次の元号は「朱鳥(しゅちょう)」。686年に1年だけ使われた元号ですが、「朱雀」の別名とも言われ、中国の伝説上の不死鳥を意味するようです。これ以降、鳥がらみの元号は登場しません。
ある解説によると、現在の山口県の国司から白いキジが献上されたため、これを瑞祥として改元したとのこと。その話を読んだときは、キジの白化個体が献上されたと解釈していました。
ところが、先日『魏志倭人伝』の中に「この国には黒いキジがいる」という記述があることを知って、その解釈は間違いではないかと思い始めました。
下の画像は『魏志倭人伝』の現物ですが、右ページに「その地(日本)には、牛も馬も虎も豹も羊も鵲(カササギ)もいない」と書いてあります。カササギは秀吉の朝鮮出兵までは日本にはいなかったので、こういう記述になるわけです。そして、左には「黒い雉がいる」と書いてあります。
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日本の鳥に関する最古の記述はキジということになりますが、日本のキジを「黒い」と感じるのは、中国大陸のキジ(コウライキジ)と比べてのことでしょう。コウライキジを見慣れている中国人が日本のキジを見て「黒い」と感じるのは不思議ではありません。
図鑑『フィールドガイド日本の野鳥』のキジ(上)とコウライキジ(下)
逆に言えば、日本のキジを見慣れている日本人にはコウライキジが白く見えるはずです。つまり、「白雉」という元号は白化個体ではなくコウライキジに由来するのではないか、というのが私の推測。
朝鮮半島から対馬あたりにコウライキジが移入され、それが今の山口県の国司に渡り、さらに朝廷に献上されたのではないでしょうか。
ちなみに、「白雉」の次の元号は「朱鳥(しゅちょう)」。686年に1年だけ使われた元号ですが、「朱雀」の別名とも言われ、中国の伝説上の不死鳥を意味するようです。これ以降、鳥がらみの元号は登場しません。