ここは9階の病室。9階から外を見るというのは、現役時代に出張で利用したホテルくらいしか記憶にない。ここは、小高い山を切り開いて宅地用に造成された土地だが、公共用地に転用されいくつかの施設が建設されたた一つで中核病院として建設され7年くらい経つ。
窓の下は駐車場。外来者用と職員用の2カ所がある。目算で800台のスペースがある。外来者用は診療開始時間が近づくにつれほぼ満車になる。あとは出入りが途切れることなく続く。職員用は出勤時間帯には長い長い車列となる。入り口の遮断機が猛烈な忙しさで上下しさばいている。遠くに駐車の人はかなりの距離を歩く、風雨の日は大変だろうと眺める。
診療時間が終了すると次第に外来車数は減っていき、職員用は何台かが残っているのは泊りだろうか。外来用も何台かは付き添いだろうか。夜の駐車場の照明が丸い円となって照らしてている。それはまるで昼間の喧騒を癒すかのように患部へ照射している治療器具のように思える。
昼間はそれほど目立たなかった瀬戸内海沿いの工場地帯、そこに灯りが灯ると遠景として夜景が浮かび出る。遠景の工場の夜景を眺めながら装置産業で3交替勤務、夜は一晩、寝ずに働いていた50年近く前のことを思い出す。今夜も工場地帯で何百人もの人が、ここの看護師さん同様に寝ずに働いている。ご苦労さん。
(今日の575) 病む人の数だけ車出入りする