北海道で雪がなくて農家が困っている、という短い文に出会った。読み進むと畑の野菜を自然冷蔵することが出来ないそうだ。積もった雪の中から野菜を掘り出す映像が思い浮かんだ。「暖冬はひと冬の平均的な状況で、寒い日もあります」気象予報士が説明していたが、寒い日が多くないと北海道の農家は困ることになるのだろうか。
夏は猛暑より涼しいほうがいい、冬は寒いより暖かいほうがいい、この感情が人情だろうがそう上手くはいかない。その昔は「冬は寒くないと畑の虫が死なない」と殺虫農薬などない時代の話にある。四季に沿ってそれに見合った作物を農家の人は作る。それを頂いて人は営みを続けている。雪がないと保存できない、本当に困ったことだ。
暖冬予報ではあるが冬らしい寒さ冷たさの続くころになった。川沿いの風はひときわ冷たさを感じるようになり、欄干に取り付けた交通安全の幟がパタパタと音を立て揺れる。寒い寒いといっているのかもしてれない。歳やインフルエンザ予防のことも考え、散歩にも多少の防寒対策をするようになった。
そんな地上の様子を知ってか知らずか、草らは春への備えをしているように思える。積もった落葉の隙間を縫ったのか、あるいは押しのけたのか分からないが、緑濃い草の葉がのぞいている。そこだけ見ると春が近くまで来ている錯覚を起こしそうだ。冬至は過ぎたばかりだか、自然の生き物らはその先へ備えている。人もおちおちしていては自然に負ける。