
この猛暑の中、「〇〇社の新入社員です。この地区の担当になりましたのでご挨拶に伺いました」とドアホンを通して若い声が告げる。それは全国いや世界に羽ばたく大手の関連企業が多い。こうして地方の裏通りまで足を運んだことが、やがて世界展開への一歩に連なるのだろう。
教わった通りの方法で名刺を出し「お忙しいところをお邪魔いたします」と頭を下げる。自社の短い説明と担当を話す。先日の新入社員は車の査定をさせてほしいという。以前にもあったがいまだに続いていることに驚く。自車と別会社の社員なので「購入したばかり」で買い替えの無いことを話す。
お邪魔します、これは他家を訪問することをいう。個別訪問で研修を積んで成長していくうちには本物の邪魔となる妨げや障害が現れるだろう。邪魔臭いとか邪魔っ気、と感じるうちは何とかなるだろう。そのうち、どうやって邪魔立てを邪魔するかを学習することになる。やがて邪魔者や邪魔物を超える力が身につく。しかし、それは一朝一夕では適わない。
訪問者は「有難うございました」と腰を折って礼をいい門扉を静かに閉める。今朝、開こうとしたアサガオが前日咲いてしなびた花に邪魔されて開けないでいた。邪魔を取り除いたら少し遅れて咲いたことを思い出し、上司先輩の助けは恐れずに相談してほしい。ただ、努力した後でのことだが、隣の家へ入る背中に思った。