「何年振りかね」、家内はそういいながら弁当を作ってくれた。
子どもは小・中学校では給食なので、弁当といえば運動会や遠足などの学校行事の時だけだった。高校の3年間は弁当持参。私は現役時代、宴会のない日は弁当持参の日も多かった。車イスなので離れた場所にある社員食堂にいけない同僚と昼食談義するためだった。定年から10数年、遠出などで食事が必要なときは外食をした。と、いって特別な食事はあまり記憶にない。
友に誘われプロ野球ウエスタンリーグ公式戦を観戦しに行くのに弁当持参ということになった。スーパーで買っていけばいい、と思っていたら「おムスビくらいなら作ろうか」という家内の話にのった。姪などが来宅時にキャラ弁の話をしているのは良く聞いていたが、実物は見たことがないが、園児らの喜ぶ弁当は紙面に載ったものくらいしか知らない。
観戦用にキャラ弁はないが、出発までに出来上がった。少し多いかな、そう思いながらも写真を撮ってリュックにおさめた。球場到着して間もなく弁当を開く。試合前の練習を眺めながらの久しぶりの手作り弁当、結婚40数年の我が家の味付けだった。練習を観ながら食べた、とはいえ満足の味、多目かと思ったが完食していた。
家庭の外で食べることを外食という。外食といえば有名な店で豪華な食事と思いがちだが、定義からいえば内容は問わない。「おむすび」も環境が変われば外食に値する。今日、ひとつ賢くなった。むすび、むすび、と呼び捨てのように言っていたがこれは「結び」で、握り飯の丁寧な呼び方を「おむすび」「おにぎり」という。言葉は正しく使いたい。