岩国の観光鵜飼は名勝・錦帯橋上流の静かな川面で行われる夏の風物詩。その様子は「鵜と鵜匠が一心同体となり、手縄(たなわ)を使って篝火(かがりび)のもとで鮎を獲る漁法である。鵜匠の服装は昔のままの伝統を踏襲し、頭に風折烏帽子(かざおれえぼし)、衣装を着て、胸に胸当て、腰に腰蓑(こしみの)をつけ、足に足半(あしなか)を履いている」(いわくに通になろう より)。
今年の鵜飼は9月10日、今季の営業が終わった。運営する第三セクター「錦帯橋鵜飼」は今季限りで事業譲渡し、会社を解散することを決めている。しかし、事業譲渡先は決まっていない、と報道されている。娯楽の多様化などで遊覧船利用客が低迷したことが事業継続を困難にしたという。
錦帯橋鵜飼の起源は370余年前(寛永年間)からといわれる。岩国藩主、吉川広嘉公の青年時代に始まったという説と、当時すでに地元で行われていた漁法という諸説がある」(いわくに通になろう より)。一時中断していたが、1952 (昭和27)年 に復興再開され現在まで続けられた来た。
錦帯橋鵜飼は岩国の伝統文化と観光資源である。会社解散と事業譲渡は今季の営業開始前から報道されていた。なのに、どうするかがまだ決まっていないとは腑に落ちない。「岩国の鵜飼また見たい」という観光客の声が紙面に載っている。この声を叶えて欲しい。
先行きのことなど知らぬ遊覧船は、穏やかな秋の日差しを受けながら、静かな川面で疲れをいやしている。そうだ、このまま引退させてはいけない。