岩国の観光資源である名勝・錦帯橋周辺と吉香公園には染井吉野が3千本といわれる。その開花した姿は長年見ているが飽きない。開花すると映像で広く紹介され、多くの花見客で混雑する。そんな桜たちは人々に喜んでもらえることを知ってか知らずか、来春に備えての準備を始めた。
桜は花芽のために葉を落とし養分を蓄えるという。本格的には紅葉を楽しませてくれながら散っていく。その紅葉を前に早くも散りはじめている、気ぜわしい木性なのか裸木に近い姿もある。青空を背景にしたその姿は小さな小さな枝の先まで頼もしく見える。
葉が散りはじめると正直なもので道は枯葉の通りに模様替えし、秋の到来を足元から教える。公園では多くの人が落ち葉を掃き集め、どこかへ運んでいる。この葉を堆肥にしますという人の話を聞いたとき、昔ながらの農法で美味い野菜だろうと思ったことがある。
重装備の女性カメラマン、プロかアマかわからないが、桜の落ち葉と錦帯橋を構図に撮っている。台風18号の降雨で水量が増し、アユ掛けする人が数人、絵になりそうだ。もうひと方、錦帯橋の定点観測を動画でアップする人もビデオ撮影中。こうした人らの写真や映像が、錦帯橋世界遺産登録への影の力になるのだろう。そう思いながら後ろ姿にエールを送る。