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「あ~あ降りだした。明日は孫と出かける予定じゃったのに」と話しながら集会所へ入ってきのはいつも粋な服装姿で孫の話をする年金生活の仲間。「また行けるいね」と無責任に慰める。
「あー、じうじう」とひと足遅く嬉しそうに入って来たのは、退職後に農業の面白さに取りつかれた仲間。じう、が慈雨と気づくまでに一呼吸あった。
直前に同じ雨について恨んだ人を慰めたばかり。このところの乾燥続きにいらいらしていた農業好きには恵みの雨。
「畑に雨は欠かせない」「ええ雨でえかったね」「あしたは休みじゃけえ遊びに行く人は困ってじゃろう」「そりゃあ雨を喜ぶ人も恨む人もあるいね」「…」「…」。慌ててつくろいのひと言を繰り出す仲間。みんな前期高齢者の年を過ぎた者ばかり。上手くその場をつくろったつもり。
農業好きは、ちょっと違和感を感じた様子。「あっ、雨音が強くなった」の一声、それが違和感を流した。つくろった仲間はほっとした。
(写真:雨と手入れのよさで葉の色艶は抜群、開花が楽しみなバラ)