TVのアナログ放送はあと1年余、そこからは地デジに変わる。盛んに受像機の切り替えを呼びかけている。供応するようにエコポイントもつくなど電気店の販売は好調のようだ。こんな大きな波の中で思い出す。我が家に初めての受像機が届いたのは丁度50年前の初夏だった。
すこし高台にある我が家ならTV電波が受信できるという電気店の説明。半日掛かりで準備が終り、SWを入れた。ほぼ四角な画面に映ったのはモノクロのNHKの「バス通り裏」だった。それは瀬戸内海を越えてきた四国からの電波だったが、身ぶるいするような感動だった。あの主題歌「小さな庭を真ん中に・・・」は今も口ずさめる。
それは「バス通り裏」の細い路地を挟んだ美容院と高校教師の家族を舞台にした青春ホームドラマだった。ごく身近な日常の泣き笑いや戯言など共感を覚えた記憶がある。その後、このドラマからは名優が続出したという。
あのような裏通り、今もどこかにあるのだろうか。あれはドラマだからといいながら、高い人気を維持したということは、多くの視聴者はそのどこかに憧れや願いがあったからだろう。
我が家はバス通り裏にあるがあのドラマのような風景には出会えない。あのころとまるで変わった家並みがそうなったのかもしれない。それでも綺麗に手入れされた生垣や花畑などを見かけると、どこか心かようものを感じる。我が家もそう心掛けていきたい。
(写真:裏通りにあるいつも手入れの行き届いている植え込み)