岩徳線(がんとくせん)は、岩国駅から周防高森駅を経て周南市の櫛ヶ浜駅に至るJR西日本の鉄道路線である。終点は徳山と勘違いする人も多いが、櫛ヶ浜~徳山間は山陽本線。急な勾配と長いトンネル区間を有するというローカル線の特長を備えている。
岩徳線の建設は何度かに分けて行われた。まず、1929(昭和4)年4月5日麻里布(現岩国) ~ 岩国(現西岩国)間が 開業。続いて1932(昭和7)年5月29日 櫛ヶ浜 ~周防花岡間が開業。その翌々年の1934(昭和9)3月28日 周防花岡 ~ 高水間、同年12月1日岩国(現西岩国)~ 高水間が延伸開業し、43.7キロが全通した。
岩徳線は全通直後、山陽本線と称された。その後、複線化の検討が行われたが急カーブ、長大トンネル、急勾配などから工事は困難となり、柳井経由が複線化されそちらが山陽本線となり、今に至っている。
1971(昭和46)年2月28日、 岩徳線での蒸気機関車の運転を終了。翌3月1日よりディーゼル機関車およびディーゼルカーによる無煙化運転に変わったと記録にある。子どものころから見慣れた黒い煙と黒い重厚な雄姿は今も鮮明な記憶として残る。
車社会の到来は岩徳線の駅を無人駅にした。1両だけのジーゼルカーが単調な音を残して走る風景はのどかに見える。しかし、ローカル線という重い荷を背負って今日も走り続けている。
1929年、旧麻里布~旧岩国間の開業と同時に、1909年に岩国町で運行が開始されていた路面電車の岩国電気軌道が、並行路線となるため廃止された。列車が電車を追い越した、今、その列車が車に追い越された。開業のころ誰も考えなかった事だろう。
(写真:岩徳線錦川の鉄橋を渡る下りのジーゼルカー)
(クリックお願い)