日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

水と日本酒

2010年04月20日 | 町かど
               

1升瓶へ蛇口からほとばしり出る水を注ぐ。刷毛のような瓶洗い用具を差込みぐるぐる回して洗う。終わると瓶を逆さにし口を支点にして底をぐるぐると回す。中の水は逆竜巻となって流れ出る。

小学校の帰り道、こうした酒屋の瓶洗い風景、洗瓶のすばやさと逆竜巻から流れ落ちる水流の面白さを格子越しに眺めていた。木箱に並んだ瓶のなかに茶褐色のそれがあるのが不思議だった。父が嗜む晩酌用の瓶は薄い青みがかった透明だった。

錦川は岩国の命の源だ。人々の生活水はもとよりその豊富な水量と水質の良さが下流で紙や織物など多くの産業を育て、それらが故郷を発展させてきた。良質な水があればそこにはおいしい日本酒が誕生する。

日本酒は米と麹で醸造した日本特有のアルコール飲料。流域には沢山の造り酒屋の歴史があるものの幾つかはその歴史を閉じられた。今では造り酒屋と呼ぶ手造りは姿を消し、自動化された工場で作られている。

酒は販路の自由化、安値競争となり町の小さな酒販売店は姿を消すか商いの方法を大きく変えた。市の酒販組合が解散するという。いかにその数が減少したかがわかる。小売店の入り口に自販機が設けられるこのころ。瓶が触れあって鳴るカチカチという懐かしい音色は聞かれなくなる。

(写真:歴史を感じさせる造り酒屋だった販売店の入り口)
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コメント (6)
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