日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

レンゲと田越し

2010年04月24日 | 回想
               

レンゲの花畑はどんなに踏み荒らしても、花を摘んでもちぎっても叱られる事はなかった。その遊びに飽きが来るころ田植えの準備が始まる。牛や馬が大きな犂(すき)を引きながら田全体を行ったり来たりする。すると、掘り起こされた黒い土の塊が波のように連なっていく。レンゲや古い稲株はその中へ巻き込まれる。田越しする牛馬の力強さを感じていた。

レンゲにどんな働きがあるか知らぬまま、雑草を押さえ稲の栄養になるということは聞き覚えにある。最近は、レンゲ畑を見かけなくなり、牛馬が犂を引く風景は昔の風物詩となった。今はトラクターが牛馬の何倍もの速さで田越しをする。肥料も一緒に鋤きこむとも聞いた。

牛馬の田越しが終わると小川に設けられた足踏み式の水車で田へ水が張られた。これは人が水車の羽根を足で踏み、水車を回転させて水を引き揚げる。流れのゆっくりな小川ではこうして水が揚げられて田に注がれた。今では姿を消したかもしれない。

米という字は八十八の手間がかかることをあらわしているという。子どものころの記憶にある米作りは、まさにそうだ、といえる。機械化された今の姿は一見楽そうに見える。しかし、米作が抱いている大きな問題が解決されなければ、本当にそうなったとはいえないだろう。

(写真:久しぶり目にした蓮華の花畑、岐阜県の県花)
コメント (2)
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