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竹の子の時期になると「お父さん盗られてる」と小1だった息子が大声で叫んだことを思い出す。
畑の道沿いに置いていた掘りたての数本が無い。またやられたか。息子なら一大事だが竹の子はまた掘れる、次からは置き場所を変えよう。いつものようにあっさりと諦める。
これまで竹の子だけではない、自家用野菜の畑からは大根や白菜やじゃがいもなどを盗られた回数は数えきれない。盗った人が助かるなら、とその量も少ない事から寛容の精神でず~と見過ごしていた。
それからしばらくして市の用地買収には逆らえず畑は手元を離れた。
今年、息子は厄年。ずいぶんの月日が過ぎた。そこには体育館が建ち、そばを住宅街を迂回する道路が完成するなど周辺は一変し、畑や竹林を偲ばす姿はない。体育館の高い屋根を見上げながら、かってその下で頭をのぞかせたばかりの竹の子を掘った感触を思い出すのは歳を重ねた郷愁だろうか。
(写真:今年初物、茹でた竹の子を頂いた)
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