「主人公光源氏の一生とその一族たちのさまざまな人生を70年余にわたって構成し、王朝文化最盛期の宮廷貴族の生活の内実を優艶(ゆうえん)に、かつ克明に描き尽くしている」と解説されている源氏物語は全54帖。このうち31帖を毛筆で書き写し、巻物にした展示会が開かれている。
会場に足を踏み入れる。帯のように広げられた巻物が別の世界へいざなう厳粛さを感じさせる。長いものは10数メートルを超えていそうな巻物もある。変体仮名などでなく、現代版仮名遣いで、難しい漢字にはふりがながつけてある。文学に疎い自分も筆写の文字を追っていた。
4年前から筆をとられ完成は80歳を目標に書き進めているという女性。作者は「書き直しをしない一発勝負。人生と同じところがいい。作品を見て何かをやってみようと思ってもらえれば」と新聞の取材に答えられている。1字1字にそれが込めらられた作品なのだ、いつの間にか長居をした。展示を見終わったとき「とにかくすごい」と感じた。
展示会は明日14日まで「シンフォニア岩国」で開かれている。
(写真:筆写の会場風景)