なごり雪は、早春を表す言葉で「名残惜しそうに降る最後の雪」というそうだが、山間部へ向かって出かける身にはじゃま雪さんだ。「行けるとこまで行って、ダメなら引き返す」そんな打ち合わせで激しく降る雪の中を出発した。
久しぶりの雪中の運転。川沿いの国道を上流向けて進むにつれ、雪の降り方は「行けるかな」という心配を増す。大粒の雪がそれを助長する。安全運転で前車の後を進む。
短いトンネルを抜けると、あれほど激しく降っていた雪が消えた。といううか、これが「なごり雪」の見本のような降り方に変わった。天然の気まぐれとでもいうのだろうか。
休憩時間、受講者の入れられた熱いコーヒーを飲みながら講座会場から見える屋根は白く、周囲の千メートル級の頂は霞んで見えない。高いところでは降り続いているようだ。
熱心な受講者に雪も遠慮したのか、講座の終わるころには雪は止み、あれほど緊張した往路の運転が嘘のようだった。
(写真:講座会場から見える雪の風景)