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沢木耕太郎『旅のつばくろ』

2023年11月11日 17時20分30秒 | 文学
沢木耕太郎『旅のつばくろ』(新潮文庫)を読んだ。
気楽に読める旅のエッセイだった。
一編一編が短くそれもよい。一つで話が終わる場合もあるが、同じ旅について続けて書かれることもある。
以下のところで、檀一雄の『火宅の人』を読もうとまた思った。
《作家には、たとえそれが「不倫」であれ、誰かに惹かれているという心の華やぎが精神を若返らせ、作品に艶を与えることがある。》(55頁)
続編もあるようで楽しみ。文庫になったら読む。
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『源氏物語』を読んでおくべきか

2023年11月07日 00時13分05秒 | 文学
大河ドラマの『どうする家康』はぜんぜん興味が持てず、ついに倍速で見てしまった。
ひとが死ぬってことをセンチメンタルに描きすぎているんじゃないかなとこの間思った。そりゃ死ぬよ、にんげんだもの。乱世だもの。
もっとあっさりと死んでほしい。「あのときは殿も若かったですな」みたいな内容のない思い出話を長々話し過ぎじゃないかな。制作者や出演者には思い入れがあるのかもしれないが、見ている方にとってはそんなに思い入れがないということもある。

来年の大河ドラマは紫式部が主人公ということで、『源氏物語』を読んでもいいかなと思っている。
河出文庫から出ている角田光代訳がもっとも新しいのだが、私にはあまり魅力的に感じられず、おもしろみがなさそうなので、ちくま文庫の大塚ひかり訳が復刊するのを待っている。
もし復刊すれば読むし、しなければ読まない。
すごく読みたいという気持ちだけではなく、長いしすこしつらいだろうなとも思っているので、そこに運を任せている。
読めなければ読めないでも平気。
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ポール・セロー『ワールズ・エンド(世界の果て)』

2023年11月03日 22時02分28秒 | 文学
ポール・セロー『ワールズ・エンド(世界の果て)』(中央公論新社)を読んだ。

山田太一の『異人たちとの夏』を読んだときに、《ポール・セローというアメリカの作家に、ロンドンの作家たちが、派手な交際をしているかに見えて、いかに滑稽なほどそれぞれが一人ぼっちかという短篇があったけれど》(151頁)という一節があり、興味を持ったのがきっかけ。
「文壇遊泳術」がおそらくその短編なのだと思うが、おもしろく読んだ。
気になるのは、この本を村上春樹が訳して最初に出版されたのが1987年7月で、山田太一の『異人たちとの夏』が出たのが1987年12月ということなので、買ってきてすぐに読んで取り入れたということなのだろうか。それとも山田太一は英語で読んだのかなあ。あまりそんな雰囲気がないけれど。(そんな雰囲気というのはあの時代で英語が堪能そうな、威張った、大橋巨泉的な雰囲気。)

「真っ白な嘘」は身の毛のよだつ話。ぞっとする。

「あるレディーの肖像」はタイトルからもっとヘンリー・ジェイムズについての話かと思ったが違った。少し名前が出てくる程度。お洒落。
火がついて燃える、の例として「ジャン・パラシュ」という名前が出てくるがなんのことか最後までわからなかった。調べてみるとJan Palach(ヤン・パラフ)のことのよう。「ことのよう」と言っても私も知らないのだが。

最後の長い、「緑したたる島」はおもしろくなくてうまく読めなかった。望まないで子供ができてしまった男女の逃げ道のない感じが嫌だった。
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