![親密な手紙 (岩波新書)](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/519DjTWjU1L._SL1500_.jpg)
卓抜なタイトルで、私などのように若い頃から大江健三郎の本を読んできた人間からすれば、懐かしい人から”親密な手紙”がよこされたような気がするのでした。
具体的にこの本を読んでなにか受け取ったというようなことは、サルトルの『嘔吐』の新訳(翻訳されたのは少し古いけれど比較すれば新訳)を読んでみようかなと思ったくらいだが、久しぶりに大江健三郎的な文体で、大江健三郎的な内容のエッセイを読んで、とても懐かしい気持ちになった。
七十歳になっても、大学の恩師と大学の同級生と息子の話をし続けるというのはちょっと自分としては想像できない。不思議な人だなと思う。
このように相も変わらずブレずに同じ位置にいて、同じ話をし続けて、あのひとまだいるな、と思える人がだんだん減ってきたと思うと悲しい。